Windowsパソコンでメールアプリを開くとOutlook classicや新しいOutlookという名前が出てきてどちらを使えばよいのか迷っている人は多いです。
特に仕事でメールや予定表をフル活用している場合は安易に乗り換えると「必要な機能が見当たらない」「操作感が変わって仕事が遅くなった」といったストレスにつながります。
この記事ではOutlook classicと新しいOutlookの違いを整理しつつ自分の使い方に合う選び方や移行手順戻し方までを一通り解説します。
これからパソコンを買い替える人や職場で新しいOutlookへの移行案内が届いて不安を感じている人はぜひ参考にしてください。
Outlook classicの特徴と新しいOutlookとの差を整理する
まずはOutlook classicと新しいOutlookがそれぞれどのようなアプリなのかという前提を共有し違いをざっくりつかんでおきましょう。
Outlook classicとは
Outlook classicはMicrosoft 365やOfficeに含まれている従来型のデスクトップ版OutlookでクラシックOutlook for Windowsと表記されることもあります。
メール予定表タスク連絡先などを一つのアプリでまとめて扱えることが特徴で企業の業務利用を想定した細かな設定項目が用意されています。
ExchangeやMicrosoft 365のほかPOPIMAPの一般的なメールサービスにも対応しておりルールや仕分け条件も柔軟に設定できます。
アプリとしてパソコンにインストールされるためオフライン環境でも保存済みメールの閲覧や簡単な作業がしやすい点も強みです。
新しいOutlookとは
新しいOutlookはWindows 11などで標準アプリとして提供されている新世代のOutlookで従来のメールアプリやカレンダーアプリの後継として位置付けられています。
基本的な見た目や動きはOutlook.comなどのWeb版Outlookに近くクラウド上のメールや予定を複数端末から同じ感覚で扱える設計になっています。
アプリ自体は無料で利用できる一方で一部の高度な機能はまだ順次実装中であり従来のOutlookと比べると使えない機能も残っています。
Windows 11ではスタートメニューにOutlookとだけ表示されることもあるため従来版との違いが分かりにくく混乱の元になりがちです。
ライセンスと料金の違い
Outlook classicはMicrosoft 365サブスクリプションや買い切り版Officeを購入したユーザーだけが利用できる有料アプリです。
一方新しいOutlookはMicrosoftアカウントを持っていれば基本的に無償で利用できGmailやYahooメールなど外部サービスもまとめて登録できます。
会社支給のパソコンではMicrosoft 365ライセンスを前提としてOutlook classicが標準メールクライアントとして指定されている場合も少なくありません。
個人利用でコストを抑えたい場合はOfficeを持たずに新しいOutlookとWebメールを組み合わせるという選択肢も現実的です。
機能と拡張性の違い
Outlook classicはルールによる自動仕分けや検索フォルダー細かなカテゴリ設定など長年のバージョンアップで熟成された機能群を備えています。
アドインによってCRMツールやワークフローシステムと連携することもでき大規模な業務システムの一部として組み込まれるケースも多いです。
新しいOutlookはクラウド前提で設計されておりオンラインサービスとの連携は得意ですが従来Outlook用に作られたアドインの多くはそのまま動作しません。
現時点ではOutlook classicにしか存在しない機能もあるため毎日使っている機能が新しいOutlookにあるかどうか事前確認が欠かせません。
動作とオフライン利用の違い
Outlook classicはローカルにデータファイルを持ちながらサーバーと同期する仕組みのため環境によっては起動や同期が重く感じられることがあります。
ただし一度同期が完了すれば社外や移動中などネットが不安定な環境でも保存済みメールの閲覧や下書きの作成がしやすいメリットがあります。
新しいOutlookはWeb技術をベースにしておりネットワーク依存度が高い代わりに軽快さやクラウドサービスとの連携を重視した設計になっています。
常にオンラインで使う前提なら新しいOutlookの方が画面の切り替えや通知の挙動が自然に感じられる場面も多いでしょう。
どちらを選ぶかの基本方針
日々の業務で細かなルールやアドインを駆使してメールをさばいているビジネスユーザーは現時点ではOutlook classicを軸に考える方が安全です。
一方個人で複数のWebメールをまとめて軽く使いたい人や新しいデザインやAI機能を試したい人は新しいOutlookも有力な選択肢になります。
組織で利用する場合はIT部門がどちらを標準クライアントとして想定しているかライセンスやサポート方針を確認しておくことが重要です。
どちらか一方に即座に完全移行するのではなく当面はOutlook classicと新しいOutlookを併用しながら最終的な着地点を見極めるのが現実的な運用です。
Outlook classicが向いている利用シーン
ここからはどのような使い方をしている人にとってOutlook classicが特に向いているのか具体的なシナリオごとに見ていきます。
社内メール運用で活きる機能
社内外から大量のメールが届く環境ではOutlook classicのルール機能や仕分けフォルダーが威力を発揮します。
取引先や件名条件ごとに細かくルールを設定しておけば受信ボックスを開いた瞬間から優先度の高いメールにだけ集中できます。
また管理職など代理人にメールを転送したり共有のメールボックスをチームで扱ったりする場合もOutlook classicの方がノウハウや事例が豊富です。
- 複雑な条件での自動仕分け
- 共有メールボックスの運用
- 上司や部下への代理送信や代理閲覧
- カテゴリ分けによるタスク整理
セキュリティ管理で評価される点
組織でメールセキュリティポリシーを厳格に運用する場合Outlook classicは管理機能との親和性の高さから引き続き採用されるケースが多いです。
情報漏えい対策やメール暗号化アーカイブ製品との連携など長年使われてきた実績があり運用面での安心感があります。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| メッセージ暗号化 | 機密メールを保護する機能との連携に実績が多い |
| 監査ログ | 誰がどのメールを操作したかを追跡する運用に向く |
| アドイン連携 | セキュリティ製品やDLP製品と組み合わせやすい |
| グループポリシー | 細かな制限を一括で適用しやすい |
長期利用で安心できるケース
社内マニュアルや教育資料がOutlook classic前提で整備されている会社ではユーザー教育の手間を考えると当面は従来環境を維持するメリットがあります。
また周辺の業務システムがOutlook classic用のアドインや連携機能を前提に作られている場合も簡単には新しいOutlookへ移行できません。
長年同じバージョンのOutlookを使い続けている部署ではちょっとした画面レイアウトの変更でも問い合わせが増えるため移行タイミングは慎重に見極めたいところです。
こうした事情がある場合はOutlook classicを標準としつつ一部のユーザーだけ新しいOutlookを試すなど段階的な移行計画を用意するのがおすすめです。
Outlook classicから新しいOutlookへ移行する手順
ここではOutlook classicを普段使っているユーザーが新しいOutlookへ乗り換える際の基本的な流れと事前確認のポイントを整理します。
新しいOutlookを有効にするステップ
まずはパソコンに新しいOutlookがインストールされているかスタートメニューのアプリ一覧や検索から確認します。
従来のOutlookウィンドウ右上に新しいOutlookを試すというトグルが表示されている場合はそこから新しいOutlookを有効化できます。
トグルをオンにすると新しいOutlookアプリがダウンロードされサインイン画面が表示されるので案内に従ってMicrosoftアカウントや職場アカウントでログインします。
- 従来のOutlookを起動して画面右上のトグルを確認
- 新しいOutlookを試すをオンに切り替え
- ダウンロード完了後に新しいOutlookが自動起動
- 案内に従ってアカウント情報を入力
移行前に確認したいデータ項目
Outlook classicから新しいOutlookに切り替える前に自分がどのデータをどの程度使っているか棚卸ししておくと安心です。
特にローカルのPSTファイルやアドインに依存した機能は新しいOutlookでサポート状況が異なるため事前確認が欠かせません。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| メールアカウント | ExchangeMicrosoft 365やPOPIMAPなどの種類 |
| ローカルデータ | PSTファイルやアーカイブの保存場所 |
| アドイン | 営業支援やワークフローなど追加機能の有無 |
| ルール | フォルダー仕分けや自動転送の設定状況 |
| 署名 | 複数パターンの登録有無と内容 |
並行運用期間の決め方
業務インパクトを抑えるためには一定期間Outlook classicと新しいOutlookを並行して使えるようにしておくと安心です。
最初の一週間程度は新しいOutlookを試しつつ重要なメール処理は従来環境側で行うとトラブル時もリスクを抑えられます。
問題なく使えることを確認したら徐々に新しいOutlookに比重を移し最終的にどちらを常用するか自分なりの判断を下しましょう。
部署単位で移行する場合は繁忙期を避け比較的問い合わせの少ない時期を選ぶことも忘れないようにしてください。
移行作業でよくあるつまずき
新しいOutlookでは画面上のファイルタブがなくなるなど従来のOutlookとはメニュー構成が異なるため最初は保存場所や設定項目を探すのに戸惑いがちです。
また一部の高度な機能やアドインが未対応の場合もあるため使えなくなって困るものがないか実際の業務フローに沿って確認する必要があります。
メールや予定そのものはサーバー側に残っていることが多いので見つからないと感じたときは検索機能を積極的に活用するとよいです。
どうしても使い勝手が合わない場合に備え従来版に戻す方法も事前に把握しておけば安心して試せます。
新しいOutlookからOutlook classicに戻す方法
新しいOutlookを試した結果自分の業務にはまだ早いと感じた場合は従来のOutlook classicに戻すことも可能です。
画面右上のトグルから戻す流れ
新しいOutlookの画面右上に新しいOutlookというトグルスイッチが表示されている場合はこれをオフに切り替えることで従来版に戻せます。
トグルをオフにするとフィードバックを求める画面が表示されその後にOutlook classicが起動するか従来版を開くかどうかの選択肢が提示されます。
トグルが見つからない場合はヘルプタブに従来のOutlookに移動といったメニューが用意されていないか確認してみてください。
- 新しいOutlookを起動
- 画面右上のトグルスイッチを探す
- スイッチをオフにして案内に従う
- 従来版Outlookが起動することを確認
戻せないときに確認する設定
トグルや従来版に戻るメニューが見当たらない場合はWindowsやOfficeのバージョンライセンス形態組織ポリシーなどが影響している可能性があります。
特に企業や学校のアカウントで利用している場合は管理者が新しいOutlookの利用を強制しているケースもあります。
| 確認項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| Officeライセンス | 従来版Outlookがインストール対象になっているか |
| Windowsの種類 | 職場や学校向けの管理された端末かどうか |
| ポリシー設定 | グループポリシーで新しいOutlookが必須になっていないか |
| ショートカット | スタートメニューにOutlookclassicの起動アイコンがあるか |
組織アカウントでの注意点
組織アカウントでOutlookを使っている場合は自分だけの判断で戻したり移行したりするとサポート対象外になることがあります。
メールボックスの場所や保存ポリシーアーカイブ設定などは組織全体の設計に関わるためIT部門の方針を必ず確認しましょう。
どうしても従来版の方が業務に適していると感じる場合は具体的な困りごとを整理した上で管理者に相談すると話が通りやすくなります。
その際には新しいOutlook側で不足している機能や実際に発生したトラブルの例を挙げて説明すると改善要望として扱ってもらいやすいです。
Outlook classicを快適に使う設定のコツ
当面はOutlook classicを使い続ける場合でも少し設定を見直すだけで新しいOutlookに近い快適さを得られることがあります。
リボン表示をクラシックに切り替える
Outlookの画面上部にあるリボンは簡略表示とクラシック表示を切り替えられ自分の好みに合わせて調整できます。
簡略表示ではボタン数が少なくスッキリしますがよく使う機能が隠れてしまうこともあるため従来のレイアウトに戻したい場合はクラシックリボンを選びましょう。
リボン右端付近の下向き矢印や表示オプションをクリックすると表示形式の切り替えメニューが開きます。
- Outlook classicを起動
- リボン右下の矢印または表示オプションをクリック
- クラシックリボンを選択
- 必要に応じて表示タブで細かな設定を調整
便利機能を活かすおすすめ設定
Outlook classicには見落とされがちな便利機能が多くこれらを有効化するだけでメール処理の効率が大きく変わります。
クイックステップや検索フォルダーなどは最初に少し時間をかけて設定しておけば日々の作業を何度も省力化できます。
| 機能 | 活用イメージ |
|---|---|
| クイックステップ | 定型的な移動やフラグ付けをワンクリックで実行 |
| 検索フォルダー | 特定条件のメールだけをまとめて表示 |
| ルール | 時間帯や送信者で自動仕分けや転送を実行 |
| カテゴリ | 案件や顧客別に色分けして視認性を向上 |
トラブル時に試したい簡単な対処
Outlook classicの動作が重くなったり画面が正しく開かなくなったりした場合はいきなり再インストールする前に基本的な対処を試すとよいです。
一時的な不具合であればOutlookを一度終了してから再起動するだけで改善することもあります。
アドインが原因のケースも多いためセーフモードで起動して問題が解消するかどうかを確認すると切り分けがしやすくなります。
それでも改善しない場合はIT部門やサポート窓口に相談しメールデータのバックアップを取ったうえで修復インストールなどを検討しましょう。
Outlook classicを活かしたメール環境の整え方
Outlook classicと新しいOutlookはどちらか一方が必ず優れているというわけではなく利用目的や組織の方針によって最適解が変わります。
日々の業務で高度なメール運用やアドイン連携を重視するなら当面はOutlook classicを軸にしつつ新しいOutlookの進化状況をウォッチするのが現実的です。
一方個人利用やライトな業務では新しいOutlookの軽さやクラウド連携のしやすさがメリットになる場面も多く併用しながら自分に合うスタイルを見つけていくとよいでしょう。
大切なのはどのアプリを使うかよりも自分の仕事の流れに合った設定や運用ルールを整えメールに振り回されない環境を作ることです。
この記事を参考にOutlook classicの強みを理解しながら新しいOutlookとの違いを踏まえた上で納得のいくメール環境を整えてください。