Microsoft Teamsを使っていて動作が重いと感じたりチャットの更新が遅かったりするときはTeamsのキャッシュをクリアすることで改善する場合があります。
キャッシュクリアはサインインできない問題や通知が届かない不具合の解消にも役立つ基本的なリセット手順です。
ここではWindowsやMacのデスクトップ版に加えてブラウザ版やスマホアプリ版までTeamsのキャッシュをクリアする具体的な方法と注意点を環境別に整理して解説します。
Teamsのキャッシュをクリアする7つの手順
このセクションではTeamsのキャッシュをクリアするときの全体の流れを七つのステップに分けて紹介し環境ごとの具体的な操作手順も併せて説明します。
キャッシュクリア前に確認する症状
まず本当にTeamsのキャッシュをクリアする必要があるかどうかを症状から見極めることが大切です。
例えば同僚から送られたメッセージが他の端末では見えるのに自分のパソコンだけ反映されない場合はキャッシュの不整合が疑われます。
会議の予定がカレンダーとTeams内で一致しなかったりチーム一覧が更新されなかったりするときもキャッシュの破損が原因のことがあります。
アプリの再起動やサインアウトとサインインを試しても改善しない場合はキャッシュクリアを検討するとよいです。
Windows版Teamsのキャッシュ削除
Windowsのデスクトップ版Teamsではアプリを完全に終了させてから専用フォルダにあるキャッシュファイルを削除するのが基本的な手順です。
従来版Teamsの場合はタスクバーのTeamsアイコンを右クリックして終了を選んだあとWindowsキーとRキーを同時に押して表示される実行ウィンドウにパスを入力します。
一般的にはパス欄に%appdata%\Microsoft\Teamsと入力して開き表示されたTeamsフォルダ内のApplication CacheやCacheなどのサブフォルダ配下のファイルを削除します。
削除が終わったらWindowsを再起動するかTeamsアプリを再起動し再度サインインして動作を確認します。
新しいTeamsと従来版の違い
現在のWindows用Teamsには従来版と新しいTeamsの二種類がありキャッシュの保存場所が異なる点に注意が必要です。
新しいTeamsではストアアプリと同じ仕組みで動作しているためユーザープロファイルのローカルフォルダ配下に専用のパッケージフォルダが作成されます。
新しいTeamsのキャッシュを手動で削除したい場合はアプリを終了してから%userprofile%\AppData\Local\Packages\MSTeams_8wekyb3d8bbwe\LocalCache\Microsoft\MSTeamsといったフォルダを開きその中身を削除します。
Windowsの設定アプリのアプリ一覧からMicrosoft Teamsを選び詳細オプションのリセット機能を使うと同様の効果が得られるため一般ユーザーにはこちらの方法がより安全です。
Mac版Teamsのキャッシュ削除
Mac版のTeamsでもキャッシュはユーザーフォルダ配下に保存されておりアプリを終了させたうえで関連フォルダを削除することでリセットできます。
まずDockのTeamsアイコンを右クリックして終了を選ぶかCommandキーとQキーを押してアプリを完全に終了させます。
そのあとFinderでホームフォルダを開きライブラリフォルダ内のApplication Supportフォルダに進みMicrosoftフォルダの中にあるTeamsフォルダを見つけて削除します。
ライブラリフォルダが見つからないときはFinderの移動メニューからフォルダへ移動を選びパス欄に~/Library/Application Support/Microsoft/Teamsと入力すると直接開けます。
フォルダを削除したらMacを再起動するかTeamsを再起動して再度サインインし表示や通知が正常になっているかを確認します。
ブラウザ版Teamsのキャッシュ削除
ブラウザ版のTeamsは各ブラウザが持つサイトデータやキャッシュの仕組みを利用しているためブラウザ側のキャッシュ削除操作が必要になります。
多くのブラウザではキーボードショートカットを使うことで閲覧履歴やキャッシュ削除画面をすばやく開くことができます。
WindowsではCtrlキーとShiftキーとDeleteキーを同時に押しMacではCommandキーとShiftキーとDeleteキーを押すとクリアするデータの種類を選べる画面が開きます。
そこからキャッシュされた画像とファイルやCookieとサイトデータなどを選択して削除しブラウザを再起動してからTeamsにアクセスし直すとキャッシュが更新されます。
スマホアプリ版のキャッシュ削除
スマホのTeamsアプリではOSごとにキャッシュ削除の手順が異なりますが設定画面からストレージ関連の項目を開くのが共通の流れです。
Androidでは設定アプリからアプリと通知やアプリ一覧を開きMicrosoft Teamsを選択してストレージとキャッシュの画面からキャッシュを削除するボタンを押します。
より深刻な不具合が続く場合は同じ画面でデータを削除してアプリを初期状態に戻す方法もありますがその場合は再サインインや通知設定のやり直しが必要になります。
iPhoneやiPadではアプリ単体でキャッシュ削除ボタンが用意されていないことが多いため問題が解消しないときは一度Teamsアプリを削除してから再インストールする方法が現実的です。
キャッシュ削除後の再起動とサインイン
キャッシュを削除したあとは必ずTeamsアプリを再起動し場合によっては端末自体も再起動してから動作を確認することが重要です。
初回起動時は新しいキャッシュを作り直すため普段より起動や読み込みに時間がかかることがありますが数分使用しているうちに安定してきます。
必要に応じて仕事用アカウントやゲストとして参加している他テナントへのサインインをやり直しチーム一覧やチャネルが正しく表示されているかを確認します。
それでも症状が変わらない場合はネットワークの問題や組織側の設定などキャッシュ以外の要因を疑って追加の対処を検討します。
Teamsのキャッシュの役割を理解する
ここではTeamsがなぜキャッシュを使うのかどのような情報が保存されているのかを理解しキャッシュクリアの効果と限界を整理します。
キャッシュの基本的な仕組み
キャッシュとは一度取得したデータをローカルに一時保存し次回以降の読み込みを高速化するための仕組みです。
Teamsではチャット履歴の一部やチーム構成情報各種設定ファイルなどがキャッシュとして端末内に保存されます。
これにより起動直後からチーム一覧や最近使ったチャネルがすぐに表示され会議画面の読み込みも軽くなります。
一方でキャッシュが古くなりすぎたり書き込みに失敗したりすると正しい情報と不一致を起こし表示の乱れや同期不良の原因となります。
Teamsがキャッシュに保存している情報
Teamsのキャッシュには見た目の設定だけでなくサインイン状態やトークンなど動作に関わる重要な情報も含まれています。
チャットの本文そのものはクラウドに保存されていますが最近表示したメッセージやメンバー一覧などはキャッシュに保存されることがあります。
チームやチャネルの構造情報会議のサムネイル画像一部のファイルリストもキャッシュを通じて高速に表示されます。
そのためキャッシュを削除するとこれらの情報は再取得されますがクラウド上のデータ自体は消えないため基本的には安全にリセットできます。
キャッシュクリアで改善しやすい症状
キャッシュクリアで効果が期待できるのはクラウド側のデータは正しいのに手元の表示だけがおかしいという種類のトラブルです。
具体的な症状を知っておくとキャッシュクリアを試すべきかどうか判断しやすくなります。
- チャットの未読や既読の状態が正しく反映されない
- チームやチャネルの一覧が更新されない
- 会議の予定や参加状況がおかしい
- 特定のチャネルだけ読み込みで止まる
- プロフィール画像やステータス表示が古いままになる
キャッシュクリアだけでは解決しないケース
一方でキャッシュをクリアしても改善しないトラブルもあり原因を切り分けておくことが重要です。
例えば全社的にTeamsへ接続できない場合や同僚も同じ時間帯に同じ不具合を訴えている場合はサービス側の障害が疑われます。
社外との通話だけが失敗するときや特定のネットワーク環境だけで問題が起きるときはファイアウォールやプロキシ設定が原因の可能性が高いです。
また権限設定やポリシーによる制限など管理者が意図的に設定している仕様が影響している場合もありこの場合はキャッシュクリアでは状況は変わりません。
キャッシュ削除が有効なトラブル対応の流れ
ここではよくあるトラブル別にキャッシュクリアをどのタイミングで挟むと効果的かを具体的な流れに沿って紹介します。
サインインできないときの手順
サインイン画面でエラーが表示される場合はまずIDとパスワードが正しいか組織のライセンス状態に問題がないかを確認します。
問題がなさそうでブラウザ版ではサインインできるのにデスクトップ版だけ失敗する場合はキャッシュの破損が疑われます。
この場合はアプリを終了してから環境に応じた手順でキャッシュフォルダを削除し再起動後にサインインをやり直すと解消することがあります。
それでも改善しないときは多要素認証や条件付きアクセスの設定が関係している可能性があるため管理者に状況を共有します。
メッセージが同期されないときの手順
自分の端末だけチャットメッセージが途中までしか表示されない場合はまずネットワーク速度やVPNの状態を確認します。
他のクラウドサービスは問題なく使えるのにTeamsだけ更新されないときはキャッシュを疑ってもよいタイミングです。
デスクトップ版でキャッシュクリアを行ったあとブラウザ版でも同じアカウントでサインインして内容を比較すると改善状況を確認しやすくなります。
もしブラウザ版でも表示がおかしい場合はチーム側の権限やチャネルの削除など構成変更が原因の可能性があるため所有者に状況を確認します。
通知が届かないときの手順
通知が届かない場合はまず端末側の通知設定とTeamsアプリ内の通知設定を見直すことが優先です。
それでも特定のチャネルやチャットだけ通知されないときは古いキャッシュが原因で通知用のサブスクリプション情報が更新されていない可能性があります。
この場合はいったんサインアウトしてからキャッシュをクリアし再サインイン後に通知設定をもう一度確認すると改善することがあります。
スマホアプリでも同様の症状があるときはモバイル側でもキャッシュ削除や再インストールを行い端末ごとの通知設定をそろえると安定しやすくなります。
画面共有や通話品質が不安定なとき
画面共有中に映像が止まったり通話中に音声が途切れたりするときはまずネットワーク帯域や他アプリの負荷を疑うことが大切です。
一方で同じネットワークにいる他のメンバーが問題なく利用できている場合は自分の端末のTeamsキャッシュや設定が影響している可能性があります。
キャッシュをクリアすると一部のメディア関連設定が初期状態に戻るため古いバージョンからアップデートを繰り返して発生した不整合が解消されることがあります。
通話や会議が多い環境では定期的にキャッシュクリアとアプリ再起動を行う習慣をつけておくとトラブルの予防につながります。
キャッシュクリア時の注意点とリスク
キャッシュを削除すること自体は安全な操作ですが影響範囲を理解しておくと安心して実行でき業務への影響も最小限に抑えられます。
削除しても消えないデータと消えるデータ
Teamsのキャッシュを削除してもチャットの本文や共有ファイル会議の録画データなどはクラウドに保存されているため消えることはありません。
一方でデバイスごとに保持されている一時ファイルや一部の設定はリセットされるため削除後には再設定が必要になる場合があります。
具体的には自動起動の設定やサインイン状態デバイスごとの通知設定などが初期状態に戻ることがあります。
重要なのはキャッシュ削除はあくまで端末側の一時データのクリアであり業務上のデータそのものが消える操作ではないという点を理解しておくことです。
業務への影響を最小限にするコツ
業務時間中にキャッシュを削除すると再サインインや再同期の間に一時的な作業中断が発生するためタイミングを選ぶことが重要です。
可能であれば会議と会議の合間や終業前など多少の待ち時間が許容されるタイミングで実行すると安心です。
複数端末で同じアカウントを使っている場合はどの端末でキャッシュを消したかをメモしておくと後からトラブルの原因を追いやすくなります。
社内のヘルプデスクやシステム管理者に連絡する前に自分でキャッシュクリアを試したことを伝えるとサポート側も次の切り分けに進みやすくなります。
環境別のキャッシュ保存場所一覧
ここでは代表的な環境ごとにTeamsのキャッシュ保存場所やリセット方法の概要を表にまとめます。
詳細な操作は前後のセクションを参照しつつこの表を早見表として活用してください。
| Windows従来版 | %appdata%\Microsoft\Teams |
|---|---|
| Windows新Teams | %userprofile%\AppData\Local\Packages\MSTeams_8wekyb3d8bbwe\LocalCache\Microsoft\MSTeams |
| Macデスクトップ版 | ~/Library/Application Support/Microsoft/Teams |
| ブラウザ版 | ブラウザのキャッシュとCookieの削除機能 |
| Androidアプリ | アプリ情報のストレージとキャッシュ画面 |
| iOSアプリ | アプリの削除と再インストール |
再インストールとキャッシュクリアの使い分け
Teamsの不具合への対処としてキャッシュクリアとアプリの再インストールは似た位置づけですが使い分けの考え方を知っておくと便利です。
まずはキャッシュクリアを試しそれでも症状が変わらない場合に再インストールへ進むというステップを踏むと過度な作業を避けられます。
再インストールはアプリ本体の破損やインストールに失敗したケースには有効ですがネットワークや権限周りの問題にはほとんど効果がありません。
逆にキャッシュクリアはアプリ本体を残したまま表示や設定の不整合だけを解消できるため日常的な軽微なトラブルにはこちらを優先するのが合理的です。
組織でTeamsを安定運用するキャッシュ対策
最後に個人利用だけでなく組織全体でTeamsを安定運用するためにキャッシュクリアをどう位置づけるかという観点からポイントを整理します。
ヘルプデスク向けの標準手順を用意する
社内ヘルプデスクや情シス担当がいる場合はTeamsの代表的なトラブルとキャッシュクリア手順をまとめた標準手順書を用意しておくと対応品質が安定します。
手順書にはWindowsとMacそれぞれのキャッシュ保存場所と操作のスクリーンショットを載せユーザーに案内するときのトーク例も記載しておくと便利です。
新しいTeamsへの移行が進んでいる環境では従来版と新Teamsのどちらを使っているかを最初に確認する質問も手順に組み込んでおくと切り分けがスムーズになります。
ヘルプデスク側でキャッシュクリアを提案する基準を明確にしておけば不要な作業が減り利用者も安心して指示に従えるようになります。
利用者向けの案内文やテンプレートを共有する
一般ユーザーが自分でキャッシュクリアを試せるよう簡潔な案内文やマニュアルを社内ポータルやナレッジに掲載しておくと問い合わせ件数の削減につながります。
例えばよくある質問の一つとして動作が重いと感じたときのセルフチェックとキャッシュクリアの手順を図入りで紹介すると効果的です。
メールやチャットで案内するときに使えるテンプレート文をあらかじめ用意しておくとヘルプデスク担当者の対応時間も短縮されます。
案内文の中でキャッシュクリア後は再サインインが必要になる可能性があることや起動に時間がかかる場合があることも事前に伝えておくとユーザーの不安を軽減できます。
キャッシュクリア以外の基本トラブル対処
キャッシュクリアは便利な手段ですがそれだけに頼ると根本原因の見落としにつながるため他の基本的な対処と組み合わせることが大切です。
具体的にはTeamsアプリの最新バージョンへの更新やOSのアップデートネットワークの再接続などもあわせて行うと総合的な安定性が高まります。
ブラウザ版を併用している場合は別ブラウザで試すことも有効でアプリ固有の問題かネットワーク全体の問題かを切り分ける手がかりになります。
こうした基本対処の優先順位と手順をあらかじめ決めておくとキャッシュクリアを含む一連のトラブルシューティングが効率的に回るようになります。
ログと時間帯をメモして再発防止につなげる
同じようなトラブルが繰り返し発生する場合は発生日時と実施した対処内容を簡単にメモしておくと原因分析に役立ちます。
例えばキャッシュクリアを実施したあとどの程度の期間は安定して使えたかを記録しておくと再現性の有無を判断できます。
社内で共通フォーマットのトラブル記録シートを用意し利用者にも簡単に記入してもらうようにすると組織としてのナレッジが蓄積されていきます。
その結果としてキャッシュクリアが必要になる頻度を減らしたり根本的な設定や運用ルールの見直しにつなげたりすることが可能になります。
Teamsのキャッシュを安全にリセットして快適に使う
Teamsのキャッシュクリアはサインインエラーや表示不具合動作の重さなど幅広いトラブルに対して手軽に試せる有効なリセット手段です。
WindowsやMacブラウザスマホアプリなど環境ごとの手順とキャッシュに保存されている情報の性質を理解しておけば安心して削除操作を行えます。
キャッシュクリアだけで解決しない場合はネットワークや権限設定サービス側の障害など他の要因も視野に入れて追加の切り分けを進めることが重要です。
日頃から標準手順や社内ナレッジを整備しておくことでTeamsを安定して運用できユーザーもトラブルに振り回されずにコミュニケーションに集中できるようになります。

