Windowsでアプリやゲームを起動したときに「アプリケーションを正しく起動できませんでした(0xc0000142)」と表示されると、とても不安になります。
再起動しても直らない場合や、特定のアプリだけ繰り返しエラーが出る場合は、原因を整理しながら一つずつ対処していくことが大切です。
ここでは0xc0000142エラーの意味と主な原因、そしてWindows10やWindows11で今すぐ試せる具体的な対処手順を、初心者にも分かりやすい流れで説明します。
むやみにレジストリを編集したり怪しいDLLを入れ替えたりせず、安全な順番でトラブルを解消できるようにガイドしていきます。
0xc0000142エラーでアプリケーションを正しく起動できないときの原因と対処手順7つ
このセクションでは、0xc0000142エラーが出たときに最初に押さえておきたいポイントと、代表的な7つの対処手順を順番に解説します。
エラー表示の内容
0xc0000142エラーは、アプリケーションの実行に必要なファイルや設定が正常に読み込めず、起動処理が途中で失敗したときに表示されるエラーコードです。
多くの場合は「アプリケーションを正しく起動できませんでした(0xc0000142)」というメッセージとともに、OKボタンだけが表示されてアプリが閉じてしまいます。
特定のアプリだけで発生するケースもあれば、複数のアプリやゲームで同時に発生するケースもあり、原因がアプリ側かWindows側かを切り分けることが重要になります。
一時的な不具合を解消する再起動
まずはアプリケーションとWindows自体を再起動し、一時的な読み込みエラーやメモリの不具合でないかを確認します。
対象アプリをすべて終了し、タスクマネージャーを開いて関連するプロセスが残っていれば終了してから、再度アプリを起動してみましょう。
それでも改善しない場合はWindowsを再起動し、起動直後に他のアプリを立ち上げる前に問題のアプリだけを起動してみると、常駐ソフトの影響かどうかを切り分けやすくなります。
Windows Updateを実行する
0xc0000142エラーは、Windows本体とアプリのバージョンが合わずDLLなどの互換性に問題が出たときに発生することがあります。
設定アプリを開き「Windows Update」から最新の更新プログラムがないかを確認し、保留中の更新があればすべて適用してください。
再起動後に同じアプリを起動し、エラーが解消しているかどうかを確認することで、更新が原因の不整合だったかを判断できます。
アプリケーションを更新または再インストールする
特定のアプリだけで0xc0000142エラーが出る場合は、そのアプリのインストールデータが壊れているか、古いバージョンが原因になっている可能性があります。
まずはアプリ内の更新機能や公式サイトから最新版をインストールし、バージョンを最新にそろえましょう。
最新版でも直らない場合は、一度アプリをアンインストールしてからPCを再起動し、その後に公式サイトや正規ストアからあらためてインストールし直すと改善することがあります。
互換モードと管理者権限を試す
古いアプリや業務用ソフトの場合、最新のWindows10やWindows11との相性が原因で0xc0000142エラーが出ることがあります。
アプリの実行ファイルを右クリックしてプロパティを開き、「互換性」タブから以前のWindowsバージョンでの互換モードを有効にすると改善するケースがあります。
同じ画面で「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れて起動し、権限不足が原因だったかどうかもあわせて確認しましょう。
SFCとDISMでシステムを修復する
複数のアプリで同時に0xc0000142エラーが出る場合は、Windowsのシステムファイル自体が破損している可能性が高くなります。
スタートボタンを右クリックして管理者権限のWindowsターミナルまたはコマンドプロンプトを開き、「sfc /scannow」と入力してシステムファイルチェッカーを実行します。
SFCで修復できない場合は「DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth」と入力し、Windowsイメージの修復を行ってから再起動し、エラーが解消しているかを確認してください。
セキュリティソフトや常駐ソフトの影響を確認する
ウイルス対策ソフトやシステム監視ツールがアプリの起動をブロックして、結果的に0xc0000142エラーとして現れているケースもあります。
信頼できる範囲で一時的にセキュリティソフトを無効化し、その状態で問題のアプリを起動してみると、干渉が原因かどうかを切り分けられます。
常駐ソフトをまとめて無効化するクリーンブートを利用すれば、どのソフトが影響しているかをより安全に調査できます。
0xc0000142エラーが発生する主な原因
ここでは0xc0000142エラーの裏側で何が起きているのかを、代表的な原因ごとに整理して説明します。
エラーが意味する技術的な内容
0xc0000142というコードは、アプリケーションの実行に必要なDLLファイルの初期化が失敗したことを意味する例外コードとして知られています。
DLLのバージョン不一致や破損、読み込み権限の問題があると、アプリケーションが正しく起動処理を続行できず、このエラーを出して終了します。
同じアプリでも環境ごとに使われるDLLの組み合わせが異なるため、他のPCでは問題なく動いていても自分のPCだけエラーになることがあり得ます。
ソフトウェア側の原因のパターン
アプリケーションそのものの状態が原因で0xc0000142エラーが発生するケースでは、いくつかのパターンに分けて考えると整理しやすくなります。
- インストール途中の中断や失敗
- 古いバージョンのまま長期間使っている状態
- 他のソフトが上書きした共有DLLの不一致
- 正式でない入手元からインストールした非正規版
- アンインストールの残骸ファイルによる競合
これらのパターンに心当たりがある場合は、再インストールやアップデートを優先して実施することで解消につながる可能性が高くなります。
Windowsやシステム構成の不具合
アプリ側に問題がなくても、Windowsの構成や設定が原因で0xc0000142エラーが出ることがあります。
| 原因 | システムファイルの破損 |
|---|---|
| 代表的な症状 | 複数アプリで同時に起動エラーが発生する |
| 原因 | 最新のWindows Update未適用 |
| 代表的な症状 | 特定バージョンでのみエラーが出る既知の不具合 |
| 原因 | ドライバやミドルウェアの不整合 |
| 代表的な症状 | 更新直後からゲームや3Dアプリだけが落ちる |
このようなケースでは、Windows Updateの適用やSFCとDISMでの修復、問題のあるドライバのロールバックなど、OS側の調整が有効になります。
セキュリティやサードパーティ製ツールの影響
ウイルス対策ソフトや暗号化ツール、チューニング系ソフトがファイルへのアクセスを監視し、正規アプリの動作まで阻害してしまうことがあります。
特に新しいバージョンのWindowsに古いセキュリティソフトを組み合わせていると、互換性の問題で起動時のDLL読み込みが妨げられることがあります。
一時的にこれらのツールを停止したり、最新版へ更新したりすることで、0xc0000142エラーが解消されるケースも多く見られます。
Windows側の詳細な対処方法
ここからは、Windows本体に原因がありそうな場合に実施したい具体的な対処手順を詳しく説明します。
Windows Updateの実行手順
まずはWindows UpdateでOSを最新の状態に整え、既知の不具合や互換性の問題を解消しておきましょう。
- 設定アプリから「Windows Update」を開く
- 「更新プログラムのチェック」をクリックする
- 表示された更新プログラムをすべてインストールする
- 必要に応じて再起動を行う
- 再起動後に問題のアプリを起動して確認する
更新が多数ある場合は複数回の再起動が必要になることもあるため、途中で中断せず最後まで完了させることが重要です。
SFCでシステムファイルを修復する
Windows Updateを適用しても改善しない場合は、SFCコマンドを使ってシステムファイルの整合性を確認し、破損しているファイルを自動で修復してみましょう。
| 準備 | スタートボタンを右クリックし、管理者権限のターミナルを開く |
|---|---|
| 入力するコマンド | sfc /scannow |
| 所要時間の目安 | 数十分程度で完了することが多い |
| 実行中の注意点 | 途中で電源を切らないようにする |
| 実行後の確認 | PCを再起動してからアプリを起動してみる |
SFCで修復が行われたと表示された場合は、再起動後に0xc0000142エラーが解消しているか必ず確認してください。
DISMでWindowsイメージを修復する
SFCでも問題が残る場合は、DISMコマンドを使ってWindowsイメージ自体を修復することで、より根本的な不具合の解消が期待できます。
同じく管理者権限のターミナルを開き、「DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth」と入力して実行します。
処理には時間がかかることがあるため、ノートPCの場合は電源アダプターを接続し、完了するまで待ってから再起動し、エラーが改善したかを確認しましょう。
クリーンブートで競合を切り分ける
OSやアプリに問題がなくても、スタートアッププログラムや常駐ソフトとの競合で0xc0000142エラーが出ているケースがあります。
システム構成ユーティリティで不要なスタートアップを一時的に無効化し、最小限の構成でWindowsを起動するクリーンブートを実行すると、原因のソフトを特定しやすくなります。
クリーンブートでエラーが出なくなる場合は、そのとき無効化したソフトの中に原因があるため、一つずつ有効に戻しながら問題のソフトを絞り込んでいきましょう。
アプリケーションやゲームごとの注意点
0xc0000142エラーは、同じコードでもアプリの種類によって原因や対処の優先順位が少しずつ変わります。
OfficeやOutlookでエラーが出る場合
WordやExcel、OutlookなどのOffice製品で0xc0000142エラーが出る場合は、Office自体の修復機能や再インストールが特に有効です。
| 状況 | ExcelやWordだけが起動時にエラーを出す |
|---|---|
| 推奨操作 | アプリと機能からOfficeの修復を実行する |
| 状況 | 複数のOfficeアプリで同じエラーが出る |
| 推奨操作 | Officeをアンインストール後に最新バージョンを入れ直す |
| 状況 | 更新後から急にエラーが出るようになった |
| 推奨操作 | Windows UpdateとOffice更新プログラムをすべて適用する |
企業環境でボリュームライセンス版を利用している場合は、組織の管理者に相談しながらライセンスやサービスの状態も併せて確認してください。
ゲームや3Dアプリでエラーが出る場合
ゲームや3Dグラフィックを多用するアプリで0xc0000142エラーが出る場合は、グラフィックドライバやDirectXなどのランタイムに原因があることが多くなります。
- グラフィックドライバを最新バージョンに更新する
- ゲームランチャーの整合性確認機能を実行する
- フルスクリーン最適化を無効にして起動を試す
- オーバーレイ機能付きの録画ソフトを一時停止する
- 外部MODやチートツールを削除してから起動する
特定のゲームだけで問題が出る場合は、公式サポートページの既知の不具合情報もあわせて確認しておくと安心です。
業務アプリや専門ソフトのケース
会計ソフトやCAD、Autodesk製品などの専門ソフトで0xc0000142エラーが出る場合は、他のアプリに比べて依存関係が複雑になりやすい点に注意が必要です。
メーカーが指定する対応OSや必要なランタイム、ドライバのバージョンが守られていないと、起動時にDLLの初期化に失敗してしまうことがあります。
社内で独自カスタマイズされた業務アプリの場合は、無理に自力で修復しようとせず、システム管理者やベンダーに状況を詳細に伝えて相談することが安全です。
再インストールや初期化の前に確認したいポイント
どうしても0xc0000142エラーが解消できないときに、最後の手段として再インストールや初期化を検討する前に確認しておきたいポイントを整理します。
バックアップしておきたいデータ
アプリの再インストールやWindowsの初期化を行う前に、大切なデータを確実にバックアップしておくことは必須です。
- ドキュメントやデスクトップ上のファイル
- アプリ固有の設定ファイルやテンプレート
- メールデータや連絡先情報
- ブラウザのお気に入りやパスワード情報
- ゲームのセーブデータやスクリーンショット
外付けHDDやクラウドストレージなど、複数の場所にコピーを残しておくと安心感が大きくなります。
危険な対処法を避ける理由
インターネット上には0xc0000142エラーを直すという名目で、危険な方法が紹介されていることがありますが、安易に試すのはおすすめできません。
| 危険な方法 | 非公式サイトからDLLだけをダウンロードして上書きする |
|---|---|
| 想定リスク | マルウェア感染や別のエラー発生につながる |
| 危険な方法 | 内容を理解しないままレジストリを大量に削除する |
| 想定リスク | Windowsが起動しなくなる致命的なトラブル |
| 危険な方法 | 出どころ不明な修復ツールをインストールする |
| 想定リスク | 情報漏えいや広告ソフトの混入につながる |
安全性が確認できない対処法は避け、Microsoftや信頼できるメーカーが案内している手順を優先して実施することが大切です。
専門業者やサポートに相談するタイミング
業務に欠かせないPCで頻繁に0xc0000142エラーが出る場合や、重要なデータが入っているストレージに不調の兆候がある場合は、早めに専門業者や公式サポートへ相談する判断も重要です。
自力での試行錯誤を繰り返すほど、状況が悪化したりデータが失われたりするリスクが高まるため、限界を感じた時点でプロの力を借りる方が結果的にコストを抑えられることも多くあります。
相談する際はエラーコード、エラーが出たタイミング、実施した対処内容などをメモして伝えると、原因の特定や解決までの時間を短縮しやすくなります。
0xc0000142エラー対応の要点整理
0xc0000142エラーは一見難しそうに見えますが、アプリ側の問題とWindows側の問題に分けて、一つずつ安全な手順で確認していけば、多くのケースで解消が期待できます。
再起動や更新、アプリの再インストール、SFCとDISMによる修復、互換モードの利用といった基本的な対処を順番に試すことで、原因の切り分けも自然に進んでいきます。
危険なレジストリ編集や非公式DLLの上書きに頼らず、必要に応じて専門サポートの力も借りながら落ち着いて対応することが、データを守りつつエラーを解消する近道になります。

