インターネットを利用していると、通信速度の低下や接続の不安定さに悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
実は、それらの原因のひとつに「MTU値」が関係している場合があります。
正しいMTUの調べ方を知ることで、これらのトラブルをスムーズに解決できる可能性が高まります。
本記事では、自動化ツールやコマンド操作、端末やゲーム機別、さらには利用環境ごとに合わせたMTU調べ方を徹底解説します。
今より快適なネットワーク環境を手に入れたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
MTUの調べ方を徹底解説

MTU(Maximum Transmission Unit)は、ネットワーク通信において重要なパラメータです。
適切なMTU値を調べることで、回線速度の最適化や通信トラブルの予防につながります。
ここでは、MTU値の調査方法や端末ごとの具体的な調べ方をわかりやすく解説します。
MTU調査の必要性
MTUはデータ通信で一度に送信可能な最大のパケットサイズを表します。
MTU値が合っていないとネット速度が遅くなったり、特定のサイトが表示できなくなるなどの問題が発生することがあります。
快適なネット環境を維持するために、ご家庭や職場の回線に合った最適なMTU値を調査、設定することが重要です。
自動でMTU値を確認できるWebツール
MTU値を簡単にチェックしたい場合は、Webツールの利用が便利です。
次のような流れでWebツールを活用できます。
- MTUチェッカーやネットワーク診断サイトにアクセスする
- 通信先IPアドレスやドメインを入力する
- MTU値が自動で診断され、結果が表示される
特別な知識やツールをインストールする手間がないため、初心者にもおすすめです。
pingコマンドを使う方法
コマンドプロンプトやターミナルを使い、pingコマンドでMTU値を調べることができます。
主な手順の一例を表で紹介します。
手順 | 説明 |
---|---|
1 | 端末でコマンドプロンプトやターミナルを開く |
2 | 「ping -f -l [パケットサイズ] [確認したいアドレス]」を入力 |
3 | パケットが分割されず送信可能な最大値を探る |
何度かパケットサイズを変え、エラーが出ない最大サイズがMTU値となります。
端末ごとの調べ方(Windows・Mac・Linux)
パソコンのOSによって、MTUの調べ方が少し異なります。
- Windows:コマンドプロンプトで「netsh interface ipv4 show subinterfaces」と入力
- Mac:ターミナルで「networksetup -getMTU [インターフェース名]」を入力
- Linux:ターミナルで「ifconfig」や「ip link show」を使う
各OSの標準コマンドにより、現在設定されているMTU値を簡単に確認できます。
ゲーム機でのMTU確認手順(PS4、Switchなど)
家庭用ゲーム機でもMTU値を変更・確認することができます。
例として、PS4とNintendo Switchの確認手順を紹介します。
機種 | 確認手順 |
---|---|
PS4 | 設定 > ネットワーク > インターネット接続設定 > カスタム > MTUの入力欄で確認 |
Switch | 設定 > インターネット > 接続設定 > 詳細設定 > MTUで確認・変更可能 |
機種によって設定画面が異なるため、取扱説明書や公式サイトも参考にしましょう。
光回線・WiFi環境でのMTU調査手順
光回線や無線LAN(WiFi)環境で最適なMTU値を調べたい場合、接続しているルーターやモデムの管理画面にアクセスする方法があります。
多くの機器では、管理画面から「インターネット設定」や「WAN設定」内に現在のMTU値が表示さています。
また、パソコンやスマートフォンからpingコマンドや各OS標準ツールを併用することでより正確な値をつかむことができます。
ネットワーク機器にログインする際は、IDやパスワードが必要な場合が多いので事前に用意しておきましょう。
MTU値を調べる際の注意点

MTU値を正しく調べることは、ネットワーク環境のトラブルを防ぎ、快適なインターネット利用につながります。
しかし、MTU値にはいくつかの注意が必要なポイントがあるため、事前に把握しておきましょう。
通信方式(IPv4/IPv6)の違いによる影響
MTU値は、使用している通信方式によっても最適値が変わります。
IPv4とIPv6ではパケット構造が異なるため、最適なMTU値や制約事項も異なる場合があります。
たとえば、IPv6はパケット分割(フラグメンテーション)が基本的に送信元のみで行われるため、途中経路での分割ができません。
このため、IPv6を利用する場合は、ネットワーク経路の最小MTU値(パスMTU)に注意が必要です。
一方、IPv4では途中経路の機器でもパケット分割が行えるため、多少MTU値が大きくとも通信できるケースがあります。
通信方式 | フラグメンテーション | 推奨MTU値 |
---|---|---|
IPv4 | 中継機器で可能 | 1500バイト程度 |
IPv6 | 送信元のみで対応 | 1280バイト以上 |
通信方式ごとの違いを認識し、使用環境に合わせたMTU値を調べることが重要です。
プロバイダやルーターによる制約
インターネット接続では、プロバイダや契約内容、使用しているルーターによってもMTU値に制限があることがあります。
とくに、PPPoE接続の場合は追加のヘッダが加わるため、MTU値の上限が標準より低くなりがちです。
プロバイダ独自の制約や、ルーターの仕様による上限・下限も把握しておきましょう。
- プロバイダ提供情報を確認する
- ご利用中のルーターの説明書や管理画面で対応MTU値を調べる
- PPPoEなど特殊な接続方式は、追加ヘッダ分に注意する
こうした制約を踏まえてMTU値を調べることで、通信トラブルの予防につながります。
最適なMTU値の選び方
最適なMTU値を選ぶためには、ご自身のネットワーク環境や通信方式、利用している機器の仕様などを総合的に考慮する必要があります。
まず現在のMTU値を調べ、パケットロスや断続的な通信障害がないかを確認しましょう。
MTU値の測定は、パソコンのコマンドやインターネット上のツールを利用して行います。
もし通信速度が遅い、動画再生が途中で止まるなどの不具合がある場合はMTU値の見直しも検討します。
状況 | 対策 |
---|---|
通常利用で問題なし | 現状のMTU値を維持 |
断続的な通信障害 | MTU値を少しずつ低く調整 |
PPPoEなど特殊な接続 | プロバイダやルーター推奨値に合わせる |
最適なMTU値の選択は、何度か調整と確認を繰り返すことがポイントです。
ネットワーク環境ごとの差異を意識しながら、最適な設定を見つけていきましょう。
MTU調査後のおすすめ設定方法

MTUの最適な値を調べた後は、その値をパソコンやルーターなど各機器の設定に反映させることが大切です。
正しい設定を行うことで、ネットワークの通信速度や安定性が向上し、快適にインターネットを利用できるようになります。
ここではOSやルーターごとの設定方法や、設定後の動作確認手順を紹介します。
OS別のMTU設定変更手順
パソコンのOSによって、MTU値の変更方法が異なります。
代表的なWindowsとMacでの設定手順を以下にまとめました。
OS | 設定方法 |
---|---|
Windows | 1. コマンドプロンプトを管理者権限で起動 2. 「netsh interface ipv4 set subinterface “ネットワーク名” mtu=調査した値 store=persistent」を入力 3. 設定が反映されているか確認 |
Mac | 1. ターミナルを開く 2. 「networksetup -setMTU ネットワークサービス名 調査した値」を入力 3. 必要に応じて再起動 |
それぞれのOSで、入力するネットワーク名やサービス名は利用環境により異なるので注意しましょう。
ルーターでのMTU設定
ルーターでMTUを設定するには、まずルーターの管理画面にアクセスします。
アクセス方法やメニューは機種によって多少異なりますが、一般的な流れは次のとおりです。
- ブラウザでルーターの管理画面アドレス(通常は192.168.1.1など)を入力
- ユーザー名とパスワードでログイン
- 「インターネット設定」や「詳細設定」などの項目からMTU設定項目を探す
- 調査した最適なMTU値を入力して保存
設定後は、ルーターの再起動が必要な場合があります。
操作方法が分からない場合は、ルーターの説明書やメーカーの公式サイトを参考にしましょう。
MTU設定後の動作確認
MTUの値を変更した後は、必ずネットワークが正常に動作するか確認しましょう。
ウェブサイトの表示が遅くなったり、特定のサイトだけ表示できなくなる場合は、MTU値が合っていない可能性があります。
再度MTUを調べ直して、最適な値を設定し直しましょう。
万が一、トラブルが発生した場合は元の値に戻すことで元通りになることが多いので安心です。
MTU調査に関するよくある質問

MTUの調べ方については、多くの人がさまざまな疑問を持っています。
ここでは、MTUの設定や調査の際によく寄せられる質問や注意点について解説します。
MTU値を変更しても速度が改善しない場合
MTU値を適切に設定しても、必ずしも通信速度が改善されるとは限りません。
ネットワーク遅延や速度低下の原因はMTUだけでなく、回線そのものの混雑や使用している機器の性能、その他のネットワーク設定などさまざまな要素が関係します。
もしMTUを調整しても劇的な変化が見られない場合は、次の点も併せてチェックしましょう。
- ルーターやONU、LANケーブルが古くなっていないか
- PCやスマホのソフトウェア・ドライバーが最新か
- プロバイダや回線の混雑状況
- セキュリティソフトやファイアウォールの設定
これらも影響を与えている場合があるので、順番に見直してみましょう。
どのタイミングでMTUを再度調べるべきか
MTUは一度設定したら変更不要と思いがちですが、状況によって再度調査を行うことが有効です。
特に以下のタイミングではMTUの再調査をおすすめします。
タイミング | 理由 |
---|---|
プロバイダを変更したとき | 通信経路が変わるため、MTUが最適化されていない可能性がある |
ルーターを買い替えたとき | 新しい機器の仕様が変わり、既存設定が合わなくなる場合がある |
大きなファイル送信やオンラインゲームで不具合が現れたとき | パケット断片化などが発生する場合、MTU調整で改善することがある |
IPv6接続方式へ切り替えたとき | IPv4とIPv6で最適MTU値が異なるため、確認が必要 |
これらのタイミングでは、MTU値の再確認をするとより安定したネットワーク環境を維持できます。
MTU値の一般的な目安
MTU値は利用している回線の種類や通信環境によって変わります。
一般的な目安としては以下の通りです。
- 光回線や一般的なブロードバンド回線:1500バイト
- PPPoE接続の場合:1454〜1492バイト
- モバイル回線(LTE/5Gなど)の場合:概ね1400〜1460バイト
自分のネット環境に合ったMTU値を調べることで、通信トラブルを予防したり、より快適なインターネット体験が実現できます。
ネットワーク最適化を目指すためのポイント

ネットワークを最適な状態に保つためには、MTUの調整だけでなく、トラフィックの特性や利用環境を総合的に見直すことが重要です。
日々の利用状況や接続するデバイスの増加、アプリケーションごとの推奨設定なども影響するため、定期的な確認とメンテナンスを心掛けましょう。
また、問題が発生した際には、MTUだけでなくDNS設定やルーターのファームウェアアップデート、ケーブルや無線の接続安定性なども合わせてチェックすることをおすすめします。
ネットワーク上のトラブルシューティングを行う場合は、焦らず一つ一つの要素を見直して、最適なパフォーマンスを維持しましょう。