MSI製のゲーミングPCやマザーボードを使っていると、いつの間にかインストールされているのがMSI Centerです。
便利そうだけれど何ができるのか分からず、重くなったり不具合が出たりしないか不安に感じている人も少なくありません。
ここではMSI Centerの代表的な機能を7つに整理しつつ、導入するメリットや注意点、インストール手順や重いときの対処法まで一通り確認できるようにまとめます。
ゲーミング用途だけでなく、普段使いのノートPCでどこまで活用すべきか判断したい人にも役立つ内容を目指しています。
MSI Centerで押さえたい基本機能7選
まずはMSI Centerでよく使われる代表的な機能を7つに絞り、どんな場面で役立つのかを整理していきます。
それぞれの役割や向いているケースを知っておくと、自分に必要な機能だけをオンにして無駄な負荷を減らす判断がしやすくなります。
ハードウェアモニタリング
ハードウェアモニタリングはCPUやGPU、メモリ、ストレージなどの温度や使用率をリアルタイムで確認できる機能です。
ゲーム中や動画編集中にどのパーツがボトルネックになっているかを可視化できるため、トラブルシューティングにも役立ちます。
温度が高止まりしている場合はファン設定やエアフローの見直しのきっかけにもなります。
常時表示させるとわずかに負荷が増えるため、必要なときだけ開く運用にするとバランスが取りやすくなります。
| 名称 | ハードウェアモニタリング |
|---|---|
| 主な役割 | CPUやGPUなどの温度や使用率をリアルタイムに表示する |
| 向いているケース | ゲームや動画編集時の負荷や温度を把握したいとき |
| 注意したい点 | 常時表示するとわずかにシステム負荷が増える |
ゲーミングモード
ゲーミングモードはゲームごとにパフォーマンス設定を最適化し、自動で適用してくれる機能です。
起動時にバックグラウンドタスクの優先度を調整したり、ディスプレイやオーディオのプロファイルを切り替えたりできます。
対応機種ではキーボードバックライトなどのライティングもゲームに合わせて変更できます。
複数のゲームを頻繁に行き来する人ほど、プロファイルを作り込むことで恩恵を感じやすい機能です。
| 名称 | ゲーミングモード |
|---|---|
| 主な役割 | ゲームごとにパフォーマンスや演出を自動で最適化する |
| 向いているケース | 複数タイトルを遊び分けるゲーマー |
| 注意したい点 | 自動最適化の内容は機種やバージョンによって変わる |
ユーザーシナリオ
ユーザーシナリオはPC全体の動作モードを「高パフォーマンス」や「バランス」、「静音」といったプリセットから切り替える機能です。
モードを変えることでCPUのパフォーマンスカーブやファンの回転数、電力制限などがまとめて調整されます。
普段は静音モードで使い、ゲームや重い作業をするときだけ高パフォーマンスに切り替えると、騒音と体感速度のバランスを取りやすくなります。
一方で他の電源プラン変更ツールと同時に使うと電源設定が奪い合いになり、挙動が不安定になる場合もあるため注意が必要です。
| 名称 | ユーザーシナリオ |
|---|---|
| 主な役割 | 電力とパフォーマンスのバランスをプリセットで切り替える |
| 向いているケース | 静音と高パフォーマンスを状況に応じて使い分けたいとき |
| 注意したい点 | Windowsの電源プランと競合すると挙動が不安定になることがある |
Mystic LightによるRGB制御
Mystic Lightは対応しているマザーボードやグラフィックボード、ケースのLEDライティングを一括で制御できる機能です。
色やエフェクト、発光の同期パターンをまとめて管理できるため、PC内部の見た目をこだわりたいユーザーに向いています。
他社製のRGBソフトと同時に動かすと競合しやすいため、基本的にはどれか一つに統一するのが安全です。
ライティングをオフにしておきたい場合も、MSI CenterのMystic Lightから一括で無効化できます。
| 名称 | Mystic Light |
|---|---|
| 主な役割 | MSI製パーツや対応デバイスのRGBライティングを制御する |
| 向いているケース | 見た目にこだわった自作PCやゲーミングPCを使っているとき |
| 注意したい点 | 他社製RGB制御ソフトと併用すると競合しやすい |
システム診断と分析
システム診断はストレージやメモリ、バッテリーなどハードウェアの状態を自動で点検し、問題がないか簡単に確認できる機能です。
長時間のパフォーマンス推移をグラフで分析できるモードを備えたバリエーションもあり、負荷のかかり方を客観的に把握できます。
PCの調子が何となく悪いと感じるときに、まず全体のヘルスチェックとして使うと原因切り分けの手掛かりになります。
エラーが出た場合は、診断結果とあわせてMSIのサポート情報やFAQを確認すると具体的な対処策を見つけやすくなります。
| 名称 | システム診断 |
|---|---|
| 主な役割 | 各ハードウェアの状態を自動点検し問題の有無を確認する |
| 向いているケース | PCの調子が悪いときに原因を絞り込みたいとき |
| 注意したい点 | 詳細な修理方法までは表示されないため自分で調査が必要な場合もある |
Live Updateによるドライバー更新
Live UpdateはMSI製のドライバーやユーティリティ、BIOSなどを一括で検索し、アップデートできる機能です。
自分でメーカーサイトを巡回しなくても更新候補をまとめて表示してくれるため、メンテナンスの手間を減らせます。
一方でBIOS更新は失敗するとリスクが大きいため、必要性が高い場合を除き慎重に扱うことが推奨されます。
重要なアップデートを適用する前には、復元ポイントやバックアップを作成しておくと安心です。
| 名称 | Live Update |
|---|---|
| 主な役割 | MSI製ドライバーやユーティリティの更新をまとめて管理する |
| 向いているケース | ドライバー更新作業を簡単に済ませたいとき |
| 注意したい点 | BIOSアップデートはリスクを理解したうえで実行する必要がある |
サポートやナレッジへのアクセス
MSI CenterにはFAQやトラブルシューティングのナレッジ、フォーラムや動画チャンネルなどへのリンクをまとめたサポート機能も用意されています。
よくあるエラーや設定方法が図解されているため、PCに詳しくない人でも自己解決しやすくなります。
英語のコンテンツが多いものの、画面のスクリーンショットや動画を見ながら作業すると理解しやすい場面が多いです。
困ったときはMSI Centerからサポート情報にアクセスし、同じ症状の事例がないか探してみるとヒントが見つかる場合があります。
| 名称 | サポートとナレッジ |
|---|---|
| 主な役割 | FAQやフォーラム、解説動画へのアクセスを提供する |
| 向いているケース | エラーや不具合の対処法を自分で調べたいとき |
| 注意したい点 | 英語中心の情報が多く日本語だけでは完結しない場合がある |
MSI Centerを導入するメリットと注意点
MSI Centerは多機能なユーティリティである一方、すべてのユーザーにとって必須というわけではありません。
導入することで得られるメリットと、あらかじめ知っておきたい注意点を把握しておくと、後から後悔せずに済みます。
パフォーマンス最適化の利点
ゲームやクリエイティブ作業が中心のユーザーにとって、ユーザーシナリオやゲーミングモードは分かりやすいメリットをもたらします。
高負荷時だけパフォーマンス重視の設定に切り替えることで、普段使いでは静かで省電力なまま快適さを維持できます。
温度と使用率をリアルタイムで見られるハードウェアモニタリングも、オーバーヒートやサーマルスロットリングを早期に発見するのに役立ちます。
こうした機能をまとめて使えることで、個別のツールをいくつも入れるより設定や管理がシンプルになる点も利点です。
RGBやファン制御を一元管理する利便性
PC内部のLEDやケースファンを複数のメーカー製品で構成している場合、それぞれ別のユーティリティが必要になることがあります。
MSI CenterとMystic Light対応の構成であれば、RGBと一部のファン制御を1つの画面から操作できるので設定の手間が減ります。
とくに光り方を統一したい場合や、ワンクリックで消灯したい場合には一元管理の恩恵が大きく感じられます。
逆に他社製RGBソフトやファン制御ソフトをすでに使っているなら、どちらか一方に絞る前提で検討するのが現実的です。
- RGBライティングの統一
- 一括消灯の操作性
- ファンカーブの調整
- ソフト間の競合リスク
高負荷や不具合が起きやすいポイント
一部の環境ではCC_Engine_x64などMSI Center関連プロセスが高いCPU使用率を示し、常に負荷がかかった状態になる事例が報告されています。
アップデート直後にCPU使用率が100パーセント近く張り付く、電源プランが勝手に切り替わるといった症状が出るケースもあります。
こうした不具合はバージョン依存であることが多く、最新版へのアップデートや一度アンインストールして入れ直すことで改善することがあります。
それでも改善しない場合はMSI Centerを常駐させず必要なときだけ手動で起動する、あるいはアンインストールして他のツールに切り替える判断も選択肢になります。
MSI Centerのインストールと初期設定の手順
ここからはMSI Centerをこれから導入する人向けに、対応環境の確認からダウンロード、初期設定の流れを整理します。
既にプリインストールされている場合でも、一度最新版を入れ直すことで不具合が解消するケースがあるため参考になります。
対応製品とOSを確認する
MSI CenterはMSI製のマザーボードやノートPC、グラフィックボードなどを対象に設計されている専用ユーティリティです。
公式サイトのサポートページでは、各製品ごとに対応するMSI Centerのバージョンや必要なモジュールが案内されています。
Windowsのバージョンやエディションによってはインストール要件が異なるため、事前に自分の環境が対応しているか確認しておくと安心です。
ストアアプリ版はサイズも数百メガバイトと比較的大きいため、ディスクの空き容量にも余裕を持たせておきましょう。
ダウンロードとインストールの流れ
MSI CenterはMSI公式サイトのダウンロードページから入手できるほか、Microsoft Store経由で配布されている場合もあります。
プリインストール版で不具合があるときは、一度アンインストーラーツールで関連コンポーネントを完全に削除してから最新版を入れ直すと安定しやすくなります。
インストール後は再起動を求められることが多いため、作業中のファイルを保存してから実行するようにしましょう。
初回起動時には必要なモジュールのダウンロードや更新が自動で走ることがあるので、ネットワーク環境が安定しているタイミングで行うのがおすすめです。
初回起動時に設定しておきたい項目
初めてMSI Centerを起動したら、まずは言語設定やテーマなど基本的な表示環境を整えます。
次にユーザーシナリオやファン関連の設定を確認し、デフォルトで過度な高パフォーマンスモードになっていないかチェックします。
不要なモジュールが自動で有効化されている場合は、重くならないように利用予定のない機能をオフにしておくと良いでしょう。
Live Updateの自動更新タイミングも、勝手に大きなアップデートが走らないよう手動確認に寄せるかどうかを検討しておきます。
| 設定項目 | 推奨される初期設定の例 |
|---|---|
| ユーザーシナリオ | 通常時はバランスモードにして必要なときだけ高パフォーマンスにする |
| ファンプロファイル | 静音性と温度のバランスを見ながら自分の許容範囲に合わせてカーブを調整する |
| Live Update | 大きな更新は手動確認にして内容を把握してから適用する |
| モジュール選択 | 使わない機能のモジュールは無効化して常駐プロセスを減らす |
MSI Centerが重い・うるさいと感じたときの対処法
MSI Centerを導入した結果、CPU使用率が上がったりファンが回り続けたりして使いづらくなるケースも存在します。
ここではよくある症状ごとに、ユーザー側で試しやすい見直しポイントと対処法を整理します。
CPU使用率が高いときの確認ポイント
タスクマネージャーでMSI関連のプロセスが高いCPU使用率を示している場合、まずはMSI Center本体とモジュールを最新版に更新します。
アップデート後も改善しない場合は、一度アンインストーラーツールで完全削除してから古いバージョンを試すと落ち着く事例もあります。
Live Updateやバックグラウンドのスキャン機能が動作中だと一時的に負荷が上がることがあるため、しばらく様子を見て収まるかも確認しましょう。
それでも常に高負荷が続くようなら、MSI Centerを常駐させず必要なときだけ手動で起動する運用に切り替えるのが現実的です。
- タスクマネージャーでプロセス名を確認する
- MSI Center本体とモジュールを更新する
- 一度完全削除してから再インストールする
- 常駐をやめて手動起動に切り替える
ファンが回り続けるときの見直し
MSI Centerで高パフォーマンス寄りのユーザーシナリオやファンプロファイルを選んでいると、常にファンが高回転で動き続けることがあります。
静音性を重視するなら、バランスモードやサイレントモードに切り替え、ファンカーブを少し緩めることで騒音を抑えられます。
室温やPCケース内のエアフローが悪いとファンが回り続けるのは当然の結果なので、物理的な環境も合わせて確認することが重要です。
負荷の高いゲーム中だけ多少の騒音を許容し、それ以外のシナリオでは静音寄りにするなど使い分けるとストレスを減らせます。
症状別に見たアンインストールと代替案
設定を見直しても負荷や不具合が解消しない場合、MSI Center自体をアンインストールしてしまう選択も現実的です。
RGB制御は他社製の軽量なツールやマザーボード付属の単機能ソフトで代用できることもあり、ライブアップデートは手動でメーカーサイトを確認する運用に切り替えられます。
MSI Centerを入れないことでトラブルの原因候補を一つ減らし、シンプルな構成にしておきたいという考え方も十分に合理的です。
アンインストール前には必ず復元ポイントやバックアップを作成し、問題が出たときに戻せる状態を用意しておきましょう。
| 症状 | 検討したい対応 |
|---|---|
| 常にCPU使用率が高い | 最新版への更新か古い安定版への入れ替えを試し、改善しなければ常駐をやめる |
| ファンが回り続けてうるさい | ユーザーシナリオとファンプロファイルを静音寄りに変更する |
| 電源プランが勝手に切り替わる | ユーザーシナリオを無効にしてWindows標準の電源プランを使う |
| 動作が不安定で頻繁にエラーが出る | 完全アンインストールを検討し、必要な機能だけ代替ツールで補う |
MSI Centerを使うべき人と使わなくてよい人
ここまで見てきたように、MSI Centerは多機能な一方で人によって相性の差が出やすいユーティリティです。
自分の用途やこだわりに合わせて、どこまで活用するかを整理しておくと選択に迷いにくくなります。
ゲーミングPCユーザーに向くケース
RGBライティングやパフォーマンス調整を細かく追い込みたいゲーミングPCユーザーにとって、MSI Centerは強力な統合ツールになります。
ゲームごとのプロファイルやオーバークロック設定を簡単に切り替えられる点は、フレームレートやレスポンス重視のプレイスタイルと相性が良いです。
モニタリング機能で温度や負荷を把握しつつ、自分のPCの限界を理解したうえで設定を詰めていきたい人に向いています。
一方でライトユーザーが同じことをやろうとすると設定項目の多さに疲れてしまう可能性があるため、必要性を見極めてから導入するとよいでしょう。
クリエイターやビジネス用途で役立つ場面
動画編集や3Dレンダリングなど、CPUとGPUに高負荷がかかるクリエイティブ用途でも、温度管理やファン制御の調整にMSI Centerが役立ちます。
長時間レンダリングを行う際に温度が上がりすぎないよう事前にファンカーブを設定しておけば、安定したパフォーマンスを維持しやすくなります。
ビジネス用途では、通常時は静音寄りのモードにして会議中のファン騒音を抑えつつ、重い処理が必要なときだけ一時的に高パフォーマンスに切り替えるといった使い方もできます。
ただし職場のPCでは管理ポリシー上サードパーティユーティリティの導入が制限されている場合もあるため、インストール前にルールを確認しておきましょう。
シンプル運用を好む人が避けたいリスク
とにかくシンプルにPCを使いたい人にとっては、MSI Centerの多機能さがそのまま煩雑さやトラブルの種になってしまう可能性があります。
Windows標準の電源プランやサードパーティ製の軽量なモニタリングツールで満足しているなら、あえてMSI Centerを入れない選択も十分に現実的です。
とくにノートPCなどでバッテリー持ちや安定性を重視する場合、常駐するユーティリティを増やさないこと自体がリスク回避になります。
必要な機能と引き換えにどこまで複雑さを許容するかを考え、自分のスタイルに合う運用を選ぶことが大切です。
MSI Centerを使いこなして自分に合ったPC環境を作る
MSI Centerはパフォーマンス調整からRGB制御、システム診断やドライバー更新まで、多くの機能を一つにまとめたMSI専用の統合ユーティリティです。
うまく使えばゲームやクリエイティブ作業の快適さを高められますが、環境によっては高負荷や不具合の原因になることもあるため、必要な機能だけを選んで使う意識が重要になります。
インストール前に対応製品とOSを確認し、初期設定でユーザーシナリオやモジュールを整理しておけば、トラブルを減らしながら利便性を享受しやすくなります。
最終的には自分の用途と許容できる複雑さを基準に、MSI Centerをフル活用するのか、ポイントだけ使うのか、それとも別のツールに任せるのかを選び、納得できるPC環境を整えていきましょう。

