Windows11を使っていて、パソコンの動作が遅く感じることはありませんか。
特にメモリが少なめのノートPCや古いデスクトップを利用している方にとって、快適な作業環境づくりは大きな悩みの種です。
そんなときに注目されるのが、USBメモリやSDカードを使って手軽にパフォーマンス向上を期待できる「ReadyBoost」機能です。
この記事では、ReadyBoostをWindows11で活用する具体的な手順や効果、注意点まで分かりやすく解説します。
ReadyBoostWindows11活用のコツや、知っておきたいポイントが気になる方は、ぜひ続きをご覧ください。
Windows11でReadyBoostを活用してパフォーマンスを向上させる具体的な方法

Windows11ではReadyBoostを活用することで、パソコンのパフォーマンスを手軽に向上させることができます。
主にUSBメモリやSDカードなどのリムーバブルメディアを高速キャッシュとして利用し、システムのレスポンスを改善します。
特にHDD搭載のパソコンでは有効な場合が多く、コストを抑えて動作をサクサクにしたい方におすすめの機能です。
ReadyBoostが効果を発揮するシステム環境
ReadyBoostは主に物理メモリ(RAM)が少ないパソコンや、HDDが搭載されているシステムで効果を発揮します。
SSDが搭載されている場合、SSD自体が非常に高速なためReadyBoostによる体感速度の向上はほとんどありません。
以下のような環境がReadyBoostに向いています。
- 物理メモリが8GB未満のパソコン
- ストレージがHDD(ハードディスクドライブ)
- Windows11がスムーズに動作しない、頻繁に遅さを感じるとき
普段の作業で少しでも動作が軽くなれば良いなと感じている場合は、ReadyBoostを試してみましょう。
Windows11でReadyBoostを設定する手順
ReadyBoostの設定はとても簡単です。
以下の手順で進めてみてください。
- パソコンのUSBポートやカードリーダーにUSBメモリまたはSDカードを挿入します。
- エクスプローラーで該当メディアを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「ReadyBoost」タブをクリックします。
- 「このデバイスをReadyBoost専用に使う」または「このデバイスを使う」を選択し、キャッシュに使用する容量をスライダーで設定します。
- 「適用」→「OK」で設定が完了します。
設定後は自動的にReadyBoostが動作します。いつでもデバイスを取り外せますが、その際は「安全な取り外し」を行うのがおすすめです。
最適なUSBメモリ・SDカードの選び方
快適にReadyBoostを利用するためには、適切なUSBメモリやSDカードの選定が重要です。
ポイント | 推奨スペック |
---|---|
容量 | 4GB ~ 32GB |
速度 | 読み取り20MB/s以上、書き込み10MB/s以上 |
規格 | USB3.0またはそれ以上、SDHC/SDXC推奨 |
信頼性 | 信頼できるメーカー品を選ぶ |
高速かつ安定したデバイスを選ぶことで、ReadyBoostの効果を最大限に発揮できます。
ReadyBoost使用時の注意点と制限事項
ReadyBoostを使うにはいくつか注意したいポイントがあります。
・一部のUSBメモリやSDカードは速度が足りずReadyBoostに対応しない場合があります。
・SSDを搭載しているPCでは「このデバイスはReadyBoostに対応していません」と表示され、設定できないことがあります。
・ReadyBoost使用中は対象のUSBメモリやSDカードには他のデータを書き込まないようにしましょう。
・設定容量は物理メモリの2〜3倍を目安にすると効果的ですが、最大32GBまで利用可能です。
・デバイスの取り外しは必ず「ハードウェアの安全な取り外し」で行いましょう。
・ReadyBoostだけで劇的に速くすることは難しいので、あくまで補助的な役割と考えてください。
ReadyBoost利用の効果を確認する方法
ReadyBoost利用後にどの程度パフォーマンスが向上したかを確認するには、いくつかの方法があります。
- タスクマネージャーでディスク使用率やシステムキャッシュの動きを見る
- ファイルのコピーやアプリの起動時の速度を体感で比較する
- ReadyBoostのプロパティ画面でキャッシュの利用状況を確認する
特にHDD環境では、アプリの起動が早くなる・作業時の待ち時間が減るなど、実際に使いながら違いを感じ取ることができます。
ReadyBoostが有効なケースと無効なケース
ReadyBoostはすべてのパソコンや利用シーンで効果を発揮するわけではありません。
有効なケース | 無効なケース |
---|---|
HDD搭載PC・メモリ不足のPC | SSD搭載PC・十分なメモリ容量のPC |
常に多くのアプリを同時に開いている場合 | 最新式の高速PCやゲーミングPC |
古いノートパソコン | ReadyBoost非対応のUSBやSDカードを使用した場合 |
自分のパソコン環境に合わせて、ReadyBoostの効果が見込めるか判断してから活用しましょう。
Windows11でReadyBoostが表示されない・使えない場合の原因

Windows11でReadyBoostがうまく機能しない場合には、いくつかの原因が考えられます。
代表的な理由として、ハードウェアの非対応やストレージの形式の違い、またパソコンのストレージがSSDであることなどが挙げられます。
それぞれの原因と対処法について、以下で説明します。
ハードウェア側の非対応
ReadyBoostを利用するためには、USBフラッシュメモリなどの外部ストレージが必要です。
しかし、すべてのUSBメモリやSDカードが対応しているわけではありません。
- ストレージの容量が最低4GB以上必要
- データ転送速度が一定以上でないと対応不可
- 古いUSBメモリやSDカードは非対応の場合が多い
また、ReadyBoost対応かどうかはWindowsが自動で判別しているため、対応していないデバイスではReadyBoostの設定自体が表示されません。
ストレージのフォーマットの問題
ReadyBoostを使用するためには、外部ストレージのファイルシステム形式も重要です。
主なファイルシステムと対応状況を下記の表にまとめます。
ファイルシステム | ReadyBoost対応 |
---|---|
FAT32 | 対応 |
exFAT | 対応 |
NTFS | 対応 |
他の形式 | 非対応 |
もしReadyBoostが利用できない場合は、ストレージがこれらの対応ファイルシステムでフォーマットされているか確認しましょう。
ファイルシステムが非対応の場合には、一旦データをバックアップしてから再フォーマットする必要があります。
SSD搭載PCでのReadyBoost非対応
最近のWindows11パソコンは、HDDではなくSSDを搭載しているケースが増えています。
SSDはHDDに比べて読み書き速度が非常に速いため、ReadyBoostによる速度向上の効果がほとんどありません。
そのため、Windows11ではSSD搭載パソコンの場合ReadyBoostの機能自体が表示・利用できない仕組みになっています。
下記にSSDとReadyBoostの関係をまとめました。
ストレージの種類 | ReadyBoost使用可否 | 理由 |
---|---|---|
HDD | 使用可能 | 速度向上の効果が期待できるため |
SSD | 使用不可 | ストレージが既に高速なため |
SSDかどうかを確認したい場合は、Windowsの「デフラグとドライブの最適化」などからストレージの種類をチェックしてみてください。
ReadyBoost利用時のトラブル対策

Windows11でReadyBoostを利用していると、うまく動作しない、設定できない、または不要になったため停止したいなど、さまざまなトラブルが発生することがあります。
それぞれの原因を知り、正しい対策を行うことでReadyBoostのトラブルを解決し、快適にパソコンを利用できるようになります。
エラー発生時の対応手順
ReadyBoostを有効化しようとした際にエラーが表示された場合は、落ち着いて原因を特定しましょう。
特に多いのは「このデバイスはReadyBoostで使用できません」などのメッセージです。
- USBメモリやSDカードがパソコンに正しく挿し込まれているか確認しましょう。
- デバイスのフォーマット形式がFAT32やNTFSであることを確認してください。
- 空き領域が少なすぎたり、転送速度が遅い場合にもエラーが発生します。
- ReadyBoost対応デバイスかどうかメーカーサイトでチェックすることも重要です。
また、ウイルス対策ソフトやパソコンのセキュリティ設定が影響することもあるため、一時的に該当ソフトを停止して試してみるのも有効な方法です。
システムの再起動や別のUSBポートへの挿し替えも、簡単な解決法となります。
設定が反映されない場合の確認ポイント
ReadyBoostの設定をしても、実際に反映されないケースがあります。
その場合は、以下のチェックポイントを見直しましょう。
確認ポイント | 対処例 |
---|---|
記憶媒体のファイルシステム | exFATや古い形式の場合はFAT32またはNTFSで再フォーマットする |
既存のReadyBoostキャッシュファイル | デバイス内の「ReadyBoost.sfcache」ファイルを削除して再設定 |
PCがSSD搭載の場合 | SSD搭載PCはReadyBoostが利用できないため、利用を中止する |
USBの接続先 | 前面/背面の別のUSBポートへ接続してみる |
また、別のパソコンやデバイスでReadyBoostが有効になるかどうか試してみると、記憶媒体自体の不具合か、Windows11の設定の問題か切り分けられます。
ReadyBoostを安全に無効化する方法
ReadyBoostを使わなくなった場合や、別の用途でUSBメモリやSDカードを利用したい場合は、安全にReadyBoost機能を無効化しましょう。
- エクスプローラーでUSBメモリやSDカードを右クリックします。
- 「プロパティ」を開きます。
- 「ReadyBoost」タブを選択します。
- 「このデバイスを使用しない」にチェックを入れます。
- 「適用」→「OK」を押して完了です。
ReadyBoostを無効化することで、キャッシュファイルが削除され、デバイスが元の状態に戻ります。
万一エクスプローラーから操作できない場合は、データのバックアップを取ったうえでデバイスを再フォーマットする方法も検討しましょう。
安全にReadyBoostを解除することで、他の用途にも安心してメディアを再利用できます。
ReadyBoostと他のパフォーマンス改善策の違い

ReadyBoostはWindows11においてUSBメモリやSDカードなどの外部メディアを利用してパソコンの動作を高速化する機能です。
しかし、他にもパフォーマンス向上のための方法がいくつか存在します。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、状況に応じて最適な選択をすることが大切です。
メモリ増設との比較
メモリ増設は物理的にメモリ容量を増やす方法で、パソコンの性能向上に直接効果があります。
ReadyBoostは外部ストレージをキャッシュとして利用する補助的な機能ですが、メモリそのものを増やすわけではありません。
- メモリ増設は大容量のデータや多数のアプリケーション同時起動にも安定して対応できる。
- 物理的な増設作業が必要で、ノートパソコンの場合は対応していない場合もある。
- ReadyBoostはUSBメモリの性能に依存し、本体メモリ増設ほどの効果は得られにくい。
- 手軽に利用できるのはReadyBoostの利点だが、効果は限定的。
SSD換装との比較
SSD換装はHDDをSSDに置き換える方法で、特に起動速度やアプリケーションの立ち上げ速度が大幅に向上します。
ReadyBoostもデータの読み書きを早くしますが、SSDには及びません。
項目 | ReadyBoost | SSD換装 |
---|---|---|
導入の手軽さ | USB接続だけですぐ使える | 機器の分解が必要 |
速度向上の体感度 | 限定的 | 大幅に向上 |
コスト | 安価 | 高価 |
対応機種 | 多くのPCで利用可 | 古いPCは非対応の場合もある |
SSDに換装した場合、ReadyBoostの必要性が大幅に下がる点にも注意が必要です。
仮想メモリ設定との比較
仮想メモリは、パソコンの物理メモリが不足した際にストレージの一部をメモリの代わりとして使う仕組みです。
ReadyBoostもストレージを活用しますが、仮想メモリは主にシステム全体の動作に関わる設定です。
ReadyBoostはストレージの読み書きをより高速化することで、特に物理メモリが少ない環境下で動作改善に役立ちます。
仮想メモリはWindowsの設定から変更でき、多くのソフトウェアが利用しています。
両者を併用することも可能ですが、SSD搭載パソコンでは、どちらも大きな効果は感じにくいことが多いです。
Windows11環境でReadyBoostを使うべきかの判断ポイント

ここまででReadyBoostの仕組みや基本的な使い方をご紹介しました。
ReadyBoostはUSBメモリやSDカードを使ってストレージのキャッシュ領域を増やす機能ですが、Windows11環境において本当に必要かどうかはよく検討する必要があります。
近年のWindows11搭載PCは、標準搭載のメモリ容量も増加傾向にあり、SSDが主流となっているため、従来ほどReadyBoostの効果が感じられにくくなっています。
もし、パソコンの動作が遅いと感じた場合、まずはメモリの増設やストレージのアップグレードなど、ほかの選択肢も合わせて検討することが大切です。
ReadyBoostは古いPCやHDD搭載のマシンでこそ効果を発揮しやすいですが、最新のWindows11環境では恩恵が限定的なケースもあるため、ご自身のPC環境と使用状況をしっかり見極めてから活用しましょう。