Outlookの送信予約機能を使うと、深夜に書いたメールを翌朝の勤務開始時間に届けたり、時差のある相手にもベストなタイミングで送ったりできます。
ここではOutlookでメールを送信予約する基本の流れから、バージョン別の違い、うまく動かないときの原因と対処、誤送信を防ぐ運用のコツまでまとめて整理します。
仕事でOutlookを毎日使っている人はもちろん、プライベートでもきちんとメールを届けたい人は、自分の環境に合った使い方を押さえておきましょう。
Outlookでメールを送信予約する基本の流れ5ステップ
まずはどの環境でも共通する送信予約の考え方と、Outlookで押さえておきたい基本のステップを整理します。
送信予約の仕組みを理解する
Outlookの送信予約は、指定した日時になるまでメールを送信トレイや下書きフォルダーに保管しておき、条件を満たしたタイミングで自動的に送信する仕組みです。
新しいOutlookやOutlook on the webでは、[送信]ボタンの横にある下向き矢印から「送信のスケジュール」や「後で送信」を選ぶ形になっています。
従来のデスクトップ版Outlookでは、リボンの[オプション]タブから[配信タイミング]や[配信オプション]を開き、「指定日時以降に配信」や「次の日時まで配信を保留」にチェックを付けて設定します。
どのパターンでも共通しているのは、送信予約したメールは一度「送信した」状態になっても、指定時刻まではサーバーあるいはクライアント側で保留されるという点です。
そのため、PCの電源やOutlookの起動状態、アカウントの種類によっては、期待通りに送信されないケースがあることも理解しておきましょう。
新規メールを作成して送信日時を決める
Outlookで送信予約したいときは、まず通常どおり新規メールを作成し、宛先や件名、本文をしっかり入力します。
ファイルの添付やCc、Bccの設定なども、送信予約だからといって特別な操作は不要で、いつもと同じように準備してかまいません。
送信日時は「いつ相手に読んでほしいか」「相手の勤務時間や生活リズムがどうか」を意識して決めると、開封率や返信率の向上につながります。
社外向けのビジネスメールであれば、基本的には平日の始業直後から午前中の時間帯に合わせると、目に留まりやすくなります。
逆に、相手の業務時間外や深夜帯は通知の負担にもなるため、送信予約を使って避けるのがマナーとしてもおすすめです。
デスクトップ版Outlookで送信予約を設定する
従来型のデスクトップ版Outlookでは、新規メールや返信メールのウィンドウで[オプション]タブをクリックし、[配信タイミング]あるいは[配信オプション]を選びます。
表示されたダイアログで「指定日時以降に配信」や「次の日時まで配信を保留」にチェックを入れ、送信したい日付と時間を指定します。
日時を指定したらダイアログを閉じて、通常どおり[送信]ボタンを押すと、メールは送信トレイに移動し、指定時刻になるまで保留された状態になります。
送信トレイ内のメールを開き直せば、日時の変更や送信予約の解除も行えるので、予定が変わった場合でも柔軟に調整できます。
古いバージョンやIMAP接続などでは挙動が異なることもあるため、自分のOutlookのバージョン情報とアカウントの種類は事前に確認しておきましょう。
Outlook on the webで送信日時を指定する
Outlook on the webやOutlook.comでは、メール作成画面の[送信]ボタン右側にある下向き矢印をクリックし、「送信のスケジュール」や「後で送信」を選びます。
あらかじめ用意されている「明日の朝」などの候補を選ぶか、「カスタム時間」を選んで任意の日時を指定すれば、サーバー側で予約送信が行われます。
送信予約したメールは下書きフォルダーや専用の一覧に保管されるので、ここから内容を確認したり、送信時刻を変更したり、予約自体を取り消したりできます。
Web版の場合はPCの電源が切れていても、サーバーが指定時刻に自動的に送信してくれるため、クライアント側の起動状態に左右されにくいのが利点です。
ブラウザーからアクセスできればどこからでも送信予約の確認や変更ができるので、テレワークや出張時にも扱いやすい方法です。
Outlookモバイルアプリで送信を予約する
スマートフォンのOutlookアプリでも、アカウントやバージョンによっては新規メール画面から送信スケジュールを設定できます。
一般的には新規メールで宛先と件名、本文を入力したあと、画面下部の「送信スケジュール」やメニューの中の「後で送信」といった項目をタップします。
カレンダー形式の画面で日時を指定すると、その時刻になるまでメールはアプリやサーバー上で保留され、指定時間に自動送信されます。
外出先で思いついた内容をその場で書き留めておき、相手の勤務時間に合わせて飛ばすといった使い方がしやすくなるのがモバイル版の強みです。
ただし、アプリのバージョンや組織のポリシーによっては送信予約が利用できない場合もあるので、「送信スケジュール」の項目が見当たらないときは管理者に確認するのが安心です。
送信予約したメールを確認して修正する
送信予約を設定したら、そのまま任せっぱなしにするのではなく、一度送信トレイや下書きフォルダーを開き、内容と日時が正しいかどうかを確認しておきましょう。
日付や時間の指定を間違えていると、相手に届くタイミングが想定よりも早過ぎたり遅過ぎたりして、かえって混乱を招くことがあります。
誤字脱字や宛先ミスに気付いた場合も、指定時刻前であればメールを開き直して内容を修正し、再度保存し直すことで問題なく送信をやり直せます。
送信自体を取りやめたいときは、日時の指定を解除したうえでメールを削除するか、ドラフトとして保存しておくことで、誤送信を防ぐことが可能です。
送信予約の運用では「予約したら必ず一度見直す」という自分なりのルールを作っておくと、ヒューマンエラーをかなり減らせます。
Outlookの送信予約が役立つ具体的な場面
ここではOutlookの送信予約が実際にどのような場面で役に立つのか、ビジネスとプライベートの両面から整理します。
ビジネスでの活用シーン
送信予約は、メールでのコミュニケーション量が多いビジネスの場面で特に威力を発揮します。
たとえば資料や見積書を前日に準備し、翌朝の勤務開始直後に届くようにしておけば、相手の受信箱の上の方に表示されやすくなります。
残業中に送るメールをあえて翌朝に飛ばす運用に切り替えると、自分も相手も勤務時間外の通知ストレスを減らせるのも大きなポイントです。
プロジェクトの進捗報告や定例連絡など、定型のメールを決まった曜日と時間に送るルーチン化にも向いています。
- 資料送付メール
- 見積書や請求書の送信
- 週報や月次報告の共有
- 会議の議事録送付
- 社内アナウンスの配信
勤務時間や生活リズムに合わせた送信タイミング
相手が国内か海外か、フレックス制か固定時間勤務かによって、メールが読みやすい時間帯は変わります。
Outlookの送信予約を使えば、相手の勤務開始時刻や昼休み明けなど、比較的余裕がありそうなタイミングを狙ってメールを届けることができます。
特に海外拠点や在宅勤務のメンバーがいるチームでは、相手のタイムゾーンと生活リズムを意識した送信が信頼関係の構築にもつながります。
下の表では、よくあるシーンごとのおすすめ送信タイミングの目安をまとめています。
| シーン | 社外取引先への連絡 |
|---|---|
| おすすめ時間帯 | 平日午前中 |
| 社内メンバーへの共有 | 始業直後 |
| 海外拠点とのやり取り | 相手の午前 |
| メルマガや一斉配信 | 通勤時間帯 |
プライベートな連絡やイベント案内にも活用できる
送信予約はビジネスだけでなく、誕生日のお祝いメールや記念日のメッセージ、同窓会やイベントの案内などにも便利に使えます。
忙しい平日に文面を考える余裕がなくても、時間のあるときにまとめて作成し、当日の朝や数日前に届くように予約しておけば、うっかり忘れを防げます。
家族への連絡や学校関連の案内も、相手が読みやすい夕方や夜の時間帯に届くように調整しておくと、返信をもらいやすくなります。
大切な相手ほどメッセージのタイミングは印象に影響しやすいので、送信予約をうまく使うことで心配りを形にできるのも魅力です。
仕事と違ってプライベートでは送信時間に厳密なルールはありませんが、相手の生活スタイルを想像しながら時間帯を選ぶ意識は持っておきたいところです。
Outlookのバージョン別に見る送信予約設定の違い
同じOutlookでも、デスクトップ版かWeb版か、新しいOutlookかによって送信予約の手順や前提条件が異なるため、自分の環境を把握しておくことが重要です。
デスクトップ版Outlookでの対応状況
Windows向けのデスクトップ版Outlookでは、多くのバージョンで送信予約機能が利用できますが、使い方や表示名称はバージョンごとに少しずつ異なります。
代表的なバージョンと送信予約の対応状況のイメージを下の表にまとめておくと、自分の環境と照らし合わせやすくなります。
会社支給のPCなどでは管理者がバージョンを固定していることも多いため、疑問があれば情報システム部門に確認するのがおすすめです。
| バージョン | Outlook 2016以降 |
|---|---|
| 送信予約の手順 | オプションタブから配信タイミング |
| 名称 | 指定日時以降に配信 |
| 接続方式 | Exchange推奨 |
| 注意点 | 送信トレイに残る |
Outlook on the webでの前提条件
Outlook on the webやOutlook.comでは、送信予約は基本的にサーバー側の機能として提供されているため、ブラウザーが閉じていても指定時刻に自動送信されます。
ただし、利用しているMicrosoft 365のプランや組織の設定によっては、送信予約機能が制限されているケースもあるため注意が必要です。
また、POPやIMAPで接続しているアカウントでは、一部のスケジュール送信機能が使えないことが公式に案内されているため、自分のアカウントの種類を確認しておきましょう。
- Microsoft 365契約プラン
- 組織のポリシー設定
- アカウントの種類
- ブラウザーの対応状況
- アドインや拡張機能の影響
新しいOutlookと従来版Outlookの違い
新しいOutlookでは、従来の「配信タイミング」ではなく「送信のスケジュール」という名称で機能が提供されており、[送信]ボタン横の矢印から簡単に呼び出せるようになっています。
従来版のOutlookでは、リボンの構成やダイアログの名称が異なるものの、基本的な考え方は同じで、指定した日時までメールを送信トレイに保持する動作です。
どちらのUIを使っているのか分からない場合は、Outlookのタイトルバーやアカウントの設定画面から、自分が新しいOutlookかどうかを確認しておきましょう。
組織によっては新旧Outlookの切り替えが段階的に行われているため、チーム内で操作手順を共有するときには、どの画面を前提にしているのかを明示しておくと混乱を減らせます。
今後もUIの変更や機能追加が行われる可能性があるため、Microsoftの公式ドキュメントや管理者からの案内も定期的に確認しておくと安心です。
Outlookの送信予約がうまく動かないときの原因と対処
送信予約を設定したのにメールが送られていない、想定よりも遅れて届いたといったトラブルは珍しくありませんが、原因を整理すれば多くは自分で対処できます。
送信トレイにメールが残ったままになる場合
デスクトップ版Outlookでは、送信予約したメールがいつまでも送信トレイに残り、指定時刻を過ぎても送信されないことがあります。
この場合、まず確認したいのはOutlook自体がオンライン状態になっているかどうかと、サーバーとの接続に問題がないかという点です。
オフラインモードになっていたり、一時的なネットワーク障害が発生していたりすると、送信予約の指示が正しくサーバーに届きません。
よくある確認ポイントを箇条書きにすると、次のような内容になります。
- Outlookがオンラインかどうか
- インターネット接続の有無
- アカウントのパスワードエラー
- 組織のメールサーバー障害
- ウイルス対策ソフトの影響
PCやOutlookの起動状態が影響するケース
従来のデスクトップ版Outlookでは、クライアント側で送信トレイに保管したメールを指定時刻に送る仕組みになっているため、PCやOutlookが起動していないと送信が行われない場合があります。
この挙動は、サーバー側で送信予約を処理してくれるOutlook on the webや一部の新しいOutlookとは大きく異なるポイントです。
自分の環境がどちらのタイプなのかを把握しておかないと、「予約したはずなのに送れていなかった」というトラブルが発生しやすくなります。
以下の表では、環境ごとの送信条件の目安を整理しています。
| 環境 | 従来のデスクトップ版 |
|---|---|
| 必要な状態 | PCとOutlookの起動 |
| サーバー側予約 | 限定的 |
| Web版Outlook | サーバー側で処理 |
| PCの状態 | 送信に影響しにくい |
タイムゾーンや時刻設定のずれが原因のトラブル
送信予約の時刻を正しく設定しているのに、届くタイミングが想定とずれる場合は、PCやアカウントのタイムゾーン設定が間違っている可能性があります。
特に海外出張後やサマータイムの切り替え時期などは、Windowsの時刻設定やOutlookのタイムゾーンがずれたままになっていることが少なくありません。
Outlook on the webとデスクトップ版でタイムゾーンが異なっていると、同じ時刻を指定したつもりでも実際には違う時間として扱われてしまいます。
Windowsの「日付と時刻」設定やOutlookの予定表のタイムゾーン設定を見直し、必要に応じて再起動して挙動を確認しましょう。
組織全体でタイムゾーンが混在している場合は、IT部門が推奨する設定値を共有してもらうと、トラブルを減らせます。
Outlookの送信予約を安全に使うための運用のコツ
送信予約は便利な一方で、使い方を誤ると誤送信や情報漏えいのリスクを高めてしまうため、安全に運用するための工夫も合わせて考えておきましょう。
誤送信を防ぐための設定と習慣
送信予約を多用する場合は、誤送信を極力防ぐための設定や運用ルールを組み合わせて使うのがおすすめです。
たとえば「送信済みアイテムに自動で保存する」「自動署名を整える」といった基本設定を見直すだけでも、誤送信に気付きやすくなります。
また、重要なメールでは宛先を最後に入力する、複数の宛先には個別送信を心がけるなど、自分なりのチェックフローを作るのも有効です。
送信予約するメールについては「必ず一度送信トレイや下書きから開き直す」というルールを徹底することで、ヒューマンエラーをかなり減らせます。
- 宛先は最後に入力
- 重要メールは個別送信
- 署名と差出人の確認
- 送信トレイからの再確認
- 機密情報はパスワード付きファイル
定期的な下書きと送信トレイの整理
送信予約を頻繁に使っていると、送信トレイや下書きフォルダーに過去の予約メールや取り消したメールが大量に残り、どれが有効な予約なのか分かりづらくなってしまいます。
週に一度などタイミングを決めて、送信トレイや下書きを開き、不要になった予約メールや古いドラフトを整理しておくと、ミスの発生を抑えられます。
特に、日時を変更したメールと元のメールが両方残っていると、誤って古い方が送信されるといったトラブルの原因になります。
フォルダー内を定期的に掃除することは、Outlook全体の動作の軽さにもつながるため、仕事のルーチンに組み込んでおくと良い習慣です。
時間がかかるように感じるかもしれませんが、誤送信や行き違いが減ることで結果的に大きな時間の節約になります。
チームで共有したい送信予約のルール
組織やチームでOutlookを使っている場合は、送信予約の使い方について最低限のルールを共有しておくと、コミュニケーションの齟齬を減らせます。
たとえば「顧客向けの重要なお知らせは必ず平日午前に届くよう予約する」「勤務時間外の送信は基本的に予約で翌日に送る」といった共通方針を決めておくイメージです。
また、送信予約を使ったメールには件名に目印を付けるなど、あとから見返したときに気付きやすくする工夫も有効です。
下の表は、チームで共有しておきたいルールの例を簡単に整理したものです。
| ルール項目 | 送信時間の基本方針 |
|---|---|
| 内容 | 顧客向けは平日午前 |
| 勤務時間外の送信 | 原則予約で対応 |
| 件名の目印 | 重要メールにタグ |
| 定期見直し | 月次で運用確認 |
Outlookの送信予約を味方にしてメール運用を整える
Outlookの送信予約機能は、相手の都合に合わせてメールを届けたり、自分の作業時間と送信時間を切り離したりできる、非常に実用的な仕組みです。
デスクトップ版とWeb版、新しいOutlookと従来版で手順や前提条件が異なるものの、基本的な考え方は「指定時刻までは保留し、そのタイミングで自動送信する」というシンプルなものです。
うまく動かないときは、オンライン状態やタイムゾーンの設定、アカウントの種類などを落ち着いて確認すれば、多くのトラブルは自力で切り分けられます。
誤送信を防ぐためのルールやフォルダー整理の習慣もあわせて取り入れれば、Outlookの送信予約は心強い相棒として、日々のメール運用をぐっと楽にしてくれるはずです。
今日から少しずつ送信予約を活用して、メールが自然とちょうど良いタイミングに届く環境を整えていきましょう。

