「受信感度のdBmって、どう見ればいいのかよく分からない」そんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
無線通信の安定性や通信品質に影響を与えるこの指標は、正しく理解しないと思わぬトラブルや通信不良を招くこともあります。
この記事では、受信感度とdBmの基礎的な関係から、無線方式ごとの目安や性能の見極め方、さらにはトラブル時の活用ポイントまで、分かりやすく解説します。
これを読めば、受信感度とdBmの関係をしっかり理解した上で、快適な通信環境づくりに役立てることができるでしょう。
さあ、この記事で通信の悩みを解決するヒントを見つけてください。
受信感度のdBm表示に関する重要ポイント

無線通信の品質を評価する際、受信感度のdBm表示はとても重要な役割を果たします。
受信感度が良い機器は弱い信号も捉えることができるため、通信の安定性や範囲に大きく影響します。
正しいdBmの知識を身につけることで、通信環境を改善したり、最適な機器選びに役立ちます。
受信感度とdBmの関係
受信感度とは、無線機器がどれほど小さい電波も受信できるかを示す指標です。
この値は通常dBm(デシベルミリワット)という単位で表されます。
dBmは電力の絶対値を示し、値が小さい(マイナスが大きい)ほど弱い信号も受信できることを意味します。
例えば、-100dBmは-80dBmよりも小さな信号を受信できることを示しています。
dBm数値が示す受信性能
dBmの値が悪化(マイナスが大きくなること)すると、信号の受信が難しくなり、通信の品質も低下します。
逆に、dBm値が-50dBmや-60dBmといった範囲なら、とても強い信号が受信できている状態です。
以下のように、dBm値ごとに受信性能の目安をリストアップします。
- -50dBm 〜 -60dBm:非常に良好な受信状態
- -70dBm 〜 -80dBm:一般的な利用に支障なし
- -90dBm 〜 -100dBm:通信が不安定になる可能性あり
- -100dBm以下:通信が困難、またはほぼ接続できない
このようにdBmの値が数字的に小さくなるほど(マイナスの桁が増えるほど)、受信性能が高いといえます。
無線機器ごとの代表的な受信感度(dBm)値
無線機器の種類によって、受信感度の一般的なdBm値は異なります。
無線機器の種類 | 受信感度の目安(dBm) |
---|---|
Wi-Fi(2.4GHz、一般的なルーター) | -90 ~ -100 |
Bluetooth | -70 ~ -90 |
スマートフォン(携帯電話) | -100 ~ -110 |
無線LANアダプタ | -80 ~ -95 |
このように、同じ無線通信でも用途や端末によって受信感度に差があるため、比較する際は仕様をよく確認しましょう。
受信感度を向上させる方法
受信感度をよくすることで、通信速度や安定性が向上します。
主な改善方法は以下の通りです。
- 無線機器やアンテナの設置場所を高い位置や障害物の少ない場所にする
- アンテナの向きを最適化する
- 高感度のアンテナや無線機器に変更する
- 周囲のノイズ源や妨害電波を減らす
- ファームウェアやソフトウェアのアップデートを行う
これらの対策を取ることで、dBm値を改善し、通信環境の向上が期待できます。
dBm値による通信品質の目安
dBmの値を知ることで、今の通信品質を大まかにつかむことができます。
たとえば、-60dBm前後なら高速な通信が期待でき、-80dBm付近ならネットサーフィンやメール利用には十分です。
-90dBm以下だと音声通話や動画再生で不安定になる場合があります。
目安として、-70dBm以上(数字的に小さい方)は快適な通信、-85dBm以下(数字的に大きい方)は改善の余地ありと考えると良いでしょう。
受信感度測定時の注意点
正確な受信感度を測定するためには、いくつか気をつけたいポイントがあります。
まず、周囲に他の無線機器や電子機器が多いとノイズの影響で正しい値が測れないことがあります。
また、測定する時間帯や場所によっても結果が変わる場合があるため、同じ条件で繰り返し測定することが大切です。
使う測定機器やスマートフォンのアプリによってもdBm表示の精度が異なるので、複数の方法で確認するのがおすすめです。
これにより、実際の通信環境や機器ごとの性能をより正確に把握できます。
受信感度に影響を与える要素

受信感度dBmは、無線機器がどれだけ小さな信号を受信できるかを示す目安です。
しかし、実際の受信環境にはさまざまな要素が影響し、理想通りの感度が得られないことがあります。
ここでは、受信感度に特に大きく影響を与える代表的な要素について説明します。
ノイズと干渉
ノイズとは、目的とする信号以外の不要な電波や電気的な雑音を指します。
ノイズが多い場所では、信号が埋もれてしまい、受信感度が大きく低下します。
また、周囲の電子機器や他の無線機器から発せられる干渉も、感度低下の大きな要因です。
- Wi-Fiルーターの多い場所
- 電子レンジなどの家電製品
- 他の無線ネットワークの電波
これらのノイズや干渉源をできるだけ遠ざけることが、安定した受信感度を保つポイントになります。
アンテナの特性
アンテナの性能は受信感度に直接関わっています。
アンテナには指向性や利得、波長への対応などの特性があり、それぞれに適した使い方があります。
アンテナの種類 | 特長 | 受信感度への影響 |
---|---|---|
無指向性アンテナ | 全方向から電波を受信できる | 広範囲で安定した受信ができるが、感度は限定的 |
指向性アンテナ | 特定の方向の電波に強い | 方向が合えば高い感度を実現 |
利用する場所や目的に合わせて、適切なアンテナを選ぶことが重要です。
周囲の障害物
建物の壁や床、窓ガラスなどの障害物は、電波の進行を妨げる原因となります。
特に、鉄筋コンクリートの壁や金属製のドアは電波を大きく減衰させる性質があります。
その他にも以下のような障害物が影響することがあります。
- 家具や大型家電
- 人の体
- 密集した植木や森林
障害物をできるだけ避けたり、アンテナの設置場所を工夫したりすることで、受信感度を改善できることがあります。
dBmの計算方法と変換の手順

dBmは無線通信やオーディオ機器などで使われる電力の単位であり、信号の強さや受信感度を数値で表す際に広く利用されます。
受信感度を正確に測定したり異なるシステム間での比較をしやすくしたりするためにも、dBmの計算方法や変換の手順を理解することが大切です。
ここではdBmの定義や基準、変換式、実際の測定における活用例について詳しく説明します。
dBmの定義と基準
dBmは「デシベル・ミリワット」の略語で、電力の絶対値を1ミリワット(mW)を基準として対数で表します。
「1mWを0dBm」とし、基準値より何倍大きいか小さいかをデシベル単位で示します。
マイナス値のdBmは1mWより小さい電力、プラス値のdBmは1mWより大きい電力を意味します。
例えば、無線機器の受信感度では-70dBmや-90dBmなど、マイナスの値で記載されることが一般的です。
dBmとmWの変換式
dBmをmWに変換するには、dBm値を10のべき乗にして計算します。
変換式は次の通りです。
変換方向 | 計算式 | 例 |
---|---|---|
dBm → mW | mW = 10dBm/10 | -30dBm → 10-3 = 0.001mW |
mW → dBm | dBm = 10 × log10(mW) | 0.001mW → 10 × log10(0.001) = -30dBm |
このように、受信感度などで表記されるdBm値を電力の実際の大きさに変換することができます。
計算が苦手な場合は、変換表やオンライン計算ツールの活用も便利です。
受信感度測定におけるdBmの活用例
受信感度は、無線機器や無線LANの性能を評価する際に重要な指標です。
dBmを用いることで、異なる環境や機器同士でも直接比較がしやすくなります。
- 無線LANルーターの受信感度が-80dBmなら、-70dBmよりも弱い信号でも通信が可能という意味です。
- 受信感度がよりマイナスの大きい(小さな値)ほど、微弱な信号も捉えることができ高感度といえます。
- 実際の現場ではテスターなどでdBmを直接測定し、通信可能な範囲やノイズレベルなどの判定に役立っています。
また、dBmを使うことで、アンテナや減衰器など周辺機器による信号の損失や増幅効果も簡単に計算して評価できます。
受信感度のほか、送信出力やケーブルロスなど、多様な無線関連機器の確認にdBmは欠かせない単位となっています。
異なる無線方式における受信感度dBmの比較

受信感度dBmは、無線機器がどれくらい小さな信号を受信できるかを示す指標です。
無線方式ごとに必要とされる受信感度には大きな違いがあり、用途や通信距離、通信品質に影響を与えています。
Wi-Fiの受信感度dBm値
Wi-Fi(無線LAN)の受信感度は、速度や安定性に大きく関わります。
一般的なWi-Fiルーターやスマートフォンで求められる受信感度はおおよそ-65dBm~-90dBm程度です。
高品質な接続を維持するには、-60dBm以上が理想とされますが、-70dBmでも快適な通信が可能です。
以下の表はWi-Fiの受信感度と通信状態の目安をまとめたものです。
受信感度(dBm) | 通信状態の目安 |
---|---|
-50 ~ -60 | 非常に良好 |
-61 ~ -70 | 良好 |
-71 ~ -80 | やや不安定 |
-81 ~ -90 | 通信が不安定・遅延が増加 |
Wi-Fiは住宅環境や施設内で利用されることが多く、比較的高い受信感度が求められます。
Bluetoothの受信感度dBm値
Bluetoothの受信感度は、デバイスの種類や用途によって異なります。
多くのBluetooth機器では、おおよそ-70dBmから-90dBmの範囲が一般的です。
Bluetoothは近距離通信のため、Wi-Fiほど高い受信感度は必要ありません。
- Bluetooth Low Energy(BLE):-90dBm程度
- Bluetooth 2.1/3.0/4.0(クラシック):-80dBm~-89dBm程度
- ヘッドホンやスピーカーなどのオーディオ機器:-82dBm前後
接続安定性を重視する場合、受信感度が高い機器を選ぶと良いでしょう。
携帯電話の受信感度dBm値
携帯電話では、利用するネットワーク(3G、4G、5G)により受信感度の基準が異なります。
多くのスマートフォン端末や基地局において、-100dBm未満が実用範囲、-110dBmを下回ると圏外になることが多いです。
以下に代表的な携帯電話の受信感度の目安をまとめます。
通信方式 | 受信感度(目安) | 通信状態 |
---|---|---|
3G | -102dBm程度 | 通話・通信が可能 |
4G (LTE) | -100dBm程度 | 高品質な通信が可能 |
5G | -95dBm程度 | 高速通信が可能 |
屋内や山間部などでは受信感度が低下しやすいため、アンテナや周囲環境にも注意が必要です。
実際の運用で役立つdBm値とトラブルの判断材料

dBmは、電波の受信感度を表す重要な単位です。
通信機器の安定動作のためには適切なdBm値が不可欠となります。
適切なdBm値を把握することで、通信環境の良否やトラブル発生時の原因特定に役立ちます。
電波状況の良否判断
受信感度dBm値は、現場で電波状況の良し悪しを判断する際の基準となります。
一般的にdBm値が0に近いほど受信感度が強く、数値がマイナスに大きくなるほど受信感度が弱いとされます。
参考までに、下記の表はdBm値ごとの電波状況目安です。
dBm値 | 電波状況の目安 |
---|---|
-30dBm~-50dBm | 非常に良好(高感度) |
-51dBm~-70dBm | 良好(問題なく利用可能) |
-71dBm~-85dBm | 普通(通信に影響することも) |
-86dBm以下 | 弱い(通信が不安定、途切れの可能性あり) |
この目安をもとに、現場の電波環境が十分かどうかを素早く判断できます。
トラブル発生時のdBmチェックポイント
通信トラブルが発生した場合、dBm値のチェックは欠かせません。
主なチェックポイントは以下の通りです。
- 受信感度が-80dBm以下になっていないか確認
- 同じ場所で複数機器に大きなdBm値差がないか調べる
- 時間帯によるdBm値の変化が激しくないか観察する
- 機器の位置やアンテナの向きによるdBm値の変化をチェックする
dBm値に異常がある場合は、まず周辺のノイズ源や障害物、機器の劣化などを疑って点検しましょう。
現場で使える計測機器の例
現場でdBm値を正確に測定するには、専用の計測機器が役立ちます。
よく使われる機器の例を挙げます。
- ハンディ型電波測定器(フィールドテスター)
- ネットワークアナライザー
- スペクトラムアナライザー
- スマートフォン用の電波測定アプリ
機器選定時には、測定可能な周波数帯や感度範囲、使い勝手なども考慮しましょう。
用途に合わせて最適な計測機器を選ぶことで、現場での通信トラブル対策や品質管理がさらに確実になります。
受信感度とdBmの関係を理解し快適な通信環境を実現するために

ここまで、受信感度やdBmについて基本的なポイントや測定方法などを解説してきました。
通信機器の性能や利用環境によって、受信感度やdBmの数値は大きく影響を受けます。
弱い信号でも安定して通信ができるかどうかは機器選びだけでなく、設置場所や周囲の障害物の有無も重要です。
今後は、ご自宅やオフィス、さらには移動中の通信環境を最適化するうえで、dBmによる受信感度の目安を意識しながら機器や回線を選ぶことが大切です。
日常の通信環境を見直し、快適なインターネットライフを実現してください。