RTX 4060の性能を他のグラボと比較して、自分の用途に合うかどうか判断したい人は多いはずだ。
とくに2025年現在はRTX 50シリーズやAMDの最新GPUも登場しており、どこまでRTX 4060で戦えるのかが分かりにくくなっている。
ここではRTX 4060のベンチマーク結果やスペックを整理し、旧世代やライバルGPUとの性能比較から適した使い方までを整理する。
フルHDゲームや動画編集、AI用途などの観点からRTX 4060がベストな選択かどうかを見極められるようになることを目指す。
RTX 4060の性能比較で迷わない7つのポイント
このセクションではRTX 4060がどのくらいの性能なのかを、代表的なライバルや価格帯と比較しながら全体像をつかめるように整理する。
フルHDゲーム性能
RTX 4060はフルHD解像度を主戦場とするエントリー〜ミドルレンジのGPUだ。
多くのAAAタイトルでは高画質設定で60fps以上を狙え、対応タイトルではDLSSを併用することで100fps前後まで伸ばせる場面も多い。
軽めのオンラインゲームやeスポーツタイトルであれば、高リフレッシュレートモニター向けに144fps前後を狙えるだけの余力もある。
一方で4K解像度をネイティブ描画で快適に遊ぶには力不足であり、4K狙いなら上位GPUを選ぶ方が現実的だ。
RTX 3060世代比較
RTX 4060は前世代RTX 3060と比べると、多くのベンチマークでおおよそ15〜25%前後の性能向上が確認されている。
3DMarkなどの合成ベンチでは、ラスタライズ性能とレイトレーシング性能の両方で世代なりの順当な伸びが見られる。
同時に消費電力は大きく下がっており、実ゲームでのフレームレートあたりの電力効率はRTX 3060より有利だ。
RTX 3060からの乗り換えであれば、最新機能と電力効率の向上を含めて「体感できる世代交代」と言いやすい位置づけになる。
RTX 3060 Ti級の立ち位置
RTX 4060の純粋なラスタライズ性能は、多くのゲームでRTX 3060 Tiとほぼ同等かやや劣る程度の位置付けになる。
一方でレイトレーシングやDLSS 3といった新機能を有効活用できる場面では、RTX 3060 Tiに対して優位に立つタイトルもある。
総合的には「RTX 3060 Ti級のフルHD性能に、最新機能と高い電力効率を加えた進化版」というバランスだと考えると分かりやすい。
すでにRTX 3060 Tiを使っているユーザーにとっては、乗り換えによる性能差よりも機能面や消費電力の差が主なメリットになりやすい。
RTX 4060 Ti選択基準
RTX 4060 TiはRTX 4060よりコア数が多く、1440p解像度以上でのゲームプレイや高fps狙いで優位に立つ。
ただし価格差は日本国内でも1〜2万円程度生じることが多く、フルHDがメインであればRTX 4060の方がコストパフォーマンスに優れるケースが多い。
1440pで画質を落とさずに高fpsを求める、あるいは寿命を長めに取りたい場合にはRTX 4060 Tiの選択を検討してもよい。
フルHDでのプレイが中心で、予算を抑えたいならRTX 4060を、解像度と画質を妥協したくないならRTX 4060 Tiという分け方が現実的だ。
Radeon RX 7600比較
同価格帯のAMD Radeon RX 7600は、レイトレーシングを使わない純粋なラスタライズ性能ではRTX 4060と近いスコアを示すことが多い。
一方でレイトレーシングを有効にした場合やDLSS 3によるフレーム生成を活用する場面では、RTX 4060の方が有利になるケースが目立つ。
消費電力や機能面まで含めて総合力を重視するならRTX 4060、コスト重視でレイトレーシングをあまり使わないならRX 7600という棲み分けになりやすい。
配信や動画編集でのAV1エンコードなど、エコシステム込みで考えるとNVIDIA側に利があるシナリオも多い。
ワットパフォーマンス評価
RTX 4060の公称TDPは約115Wと、RTX 3060より大幅に抑えられている。
実ゲーム時の消費電力も比較的低く、同クラスのライバルGPUと比べて静音性や発熱面で優位な構成を組みやすい。
電源容量が小さめの既存PCを流用したい場合でも、550Wクラスの電源を用意しておけば安心して運用できるケースが多い。
電気料金やケース内温度を気にしながら長時間プレイするユーザーには、RTX 4060のワットパフォーマンスは大きな魅力になる。
価格コスパ評価
2025年時点の国内価格は新品でおおよそ4万円台後半〜5万円前後が目安となることが多い。
同価格帯にはAMDやRTX 50シリーズの下位モデルも存在するため、単純なfpsあたりの価格では必ずしも最強とは言い切れない。
しかしDLSS 3やAV1エンコード、豊富なソフトウェアサポートを含めてトータルで見ると、依然としてバランスの取れた選択肢と言える。
中古市場のRTX 3060 TiやRTX 3070と比較しつつ、保証や消費電力も含めた総コストで検討すると判断を誤りにくい。
RTX 4060のスペックから見える立ち位置
このセクションではRTX 4060のスペックを整理し、どのような用途に向いた設計なのかをハードウェア構成から読み解いていく。
コアスペック一覧
RTX 4060はNVIDIAのAda Lovelaceアーキテクチャを採用し、3072基のCUDAコアと8GBのGDDR6メモリを搭載している。
メモリバス幅は128bitで、PCIe 4.0接続のエントリー〜ミドルレンジモデルとして設計されている。
ここでは代表的な競合GPUと一緒にスペックを一覧で整理する。
| RTX 4060 | 3072コア・8GB GDDR6・128bit・115W前後 |
|---|---|
| RTX 3060 | 3584コア・12GB GDDR6・192bit・170W前後 |
| RTX 3060 Ti | 4864コア・8GB GDDR6・256bit・200W前後 |
| Radeon RX 7600 | 約2048SP・8GB GDDR6・128bit・160W前後 |
メモリ構成の特徴
RTX 4060の8GB VRAMと128bitバスは、フルHD解像度を想定した構成としては十分だが、高解像度や重量級タイトルではぎりぎりになる場面もある。
テクスチャ品質を最高にしつつレイトレーシングも有効にすると、一部のタイトルではVRAM使用量が8GBの上限近くに達することがある。
そのためフルHDであっても、メモリ負荷の高いゲームでは画質プリセットやテクスチャ解像度を一段階落とす運用が現実的になる。
このような前提を理解しておくと、期待値とのギャップを感じずにRTX 4060を活用しやすくなる。
- フルHD想定では8GBで実用範囲
- 超重量級タイトルでは設定調整が前提
- VRAM余裕を最重視するなら上位GPUも候補
PCIe帯域の注意点
RTX 4060はPCIe 4.0 x8接続のため、スロット自体はx16でも実際に使うレーン数は8レーンとなる。
現行のデスクトップ向けCPUプラットフォームでは大きなボトルネックにはなりにくく、実ゲームで体感できる差はほとんどない。
ただし将来的にPCIe 5.0世代が主流になった際には、帯域や互換性の面で若干の差として現れる可能性はある。
とはいえフルHD中心のゲーム用途であれば、PCIe帯域よりもCPUやストレージの方が体感への影響は大きいと考えてよい。
フルHDゲームでのRTX 4060の実力
このセクションではRTX 4060が実際のゲームでどの程度のフレームレートを出せるのかを、タイトルの傾向別に整理していく。
AAAタイトル指標
最新のAAAタイトルでは、RTX 4060はフルHD高画質設定でおおよそ60〜90fps前後を狙える性能帯にある。
レイトレーシングを無効にしたうえでDLSSの品質モードを活用すれば、視覚的な違いをあまり感じさせずにfpsを底上げできる。
重いタイトルでは画質プリセットを一段階下げることで、安定した60fpsラインを維持しやすくなる。
1440p解像度では中〜高設定を組み合わせながら60fps前後を目指すイメージになり、完全な4K用途には向かないことを意識したい。
eスポーツタイトル指標
Apex LegendsやVALORANTのようなeスポーツ志向のタイトルでは、RTX 4060は非常に高いフレームレートを出しやすい。
描画負荷の軽いタイトルであれば、設定を最適化することで200fps以上を狙えるケースもあり、高リフレッシュレートモニターとの相性も良い。
入力遅延の少ない環境を求めるプレイヤーにとって、RTX 4060は価格を抑えつつも十分なパフォーマンスを発揮する。
CPU性能やメモリ容量などシステム全体のバランスを取ることで、eスポーツタイトルにおけるポテンシャルを最大限に引き出せる。
レイトレーシング活用
RTX 4060では第3世代RTコアとDLSS 3を組み合わせることで、レイトレーシングを有効にした状態でも快適なフレームレートを維持しやすい。
特にDLSS 3のフレーム生成は、CPU負荷の高いシーンでもfpsを大きく押し上げられるため、フルHD環境との相性が良い。
一方でレイトレーシングを最大設定にすると、VRAMやメモリ帯域の制約からfpsが不安定になるタイトルも存在する。
レイトレーシングを楽しみたい場合は、反射や影など一部の項目を中程度にとどめつつDLSSを併用する運用が現実的だ。
- DLSS 3対応タイトルで真価を発揮
- レイトレーシングは中設定程度が現実的
- フルHD環境でのバランス重視に最適
クリエイティブ用途でのRTX 4060の使い勝手
このセクションでは動画編集や3D制作、AI処理などクリエイティブ用途でRTX 4060がどの程度活躍できるかを解説する。
動画編集ワークフロー
RTX 4060はハードウェアエンコーダーとしてAV1をサポートしており、対応ソフトでは高画質かつ効率的な動画書き出しが可能だ。
H.264やH.265よりもビットレートを抑えながら、同等以上の画質を狙えるため、YouTube配信や録画用途でメリットが大きい。
4K編集でも簡単なカット編集やカラーグレーディング程度であれば、8GB VRAMでも十分に作業可能なケースが多い。
長尺の4Kマルチカム編集や重いエフェクトを多用する用途では、VRAM容量の観点から上位GPUの方が安心だ。
3Dレンダリング性能
Blenderなどの3Dレンダリングでは、RTX 4060はRTX 3060より大幅に高速化しており、一部のテストではRTX 3060 Tiに迫るか上回る結果も報告されている。
CUDAコア数は少ないものの、アーキテクチャの世代差とクロック向上によって効率よく演算をこなせる設計になっている。
中規模程度のシーンや静止画レンダリングが中心であれば、RTX 4060でもストレスなく運用できる場面は多い。
ただし大規模シーンや高解像度アニメーションレンダリングを大量にこなすワークロードでは、VRAMとコア数に余裕のある上位モデルが現実的だ。
AI処理の適性
RTX 4060はTensorコアを搭載しており、Stable Diffusionなどの画像生成AIや軽めの推論用途にも十分対応できる。
8GB VRAMの制約から、非常に大きなモデルや高解像度バッチ処理には向かないが、個人レベルの実験や小規模運用には問題ない範囲だ。
細かな学習やLoRAの微調整なども工夫次第でこなせるため、生成AIの入門用GPUとしても位置付けられる。
本格的なAI研究や大規模学習を視野に入れる場合は、VRAM容量の多い上位GPUを検討するのが無難だ。
RTX 4060を選ぶときのモデル選定のコツ
このセクションではRTX 4060搭載グラボの中から、どのようなモデルを選ぶと満足度が高いかをフォームファクタや価格の観点から整理する。
シングルファンモデルの利点
シングルファンのコンパクトモデルは、Mini-ITXケースや省スペースPCに組み込みたいユーザーに向いている。
RTX 4060の消費電力は低めのため、冷却性能的にもシングルファンで十分なケースが多い。
短い基板長のモデルを選べば、ケーブルマネジメントやエアフローの確保もしやすくなる。
静音性を最優先する場合は、ファンの回転数制御やセミファンレス機能の有無もチェックしておきたい。
デュアルファンモデルの利点
デュアルファンモデルはシングルファンよりも冷却性能に余裕があり、長時間の高負荷ゲームでも温度が安定しやすい。
ファン回転数を抑えながら冷やせるため、実運用時の騒音レベルが低くなる傾向もある。
RGBライティングや強化バックプレートなど、見た目を重視したモデルが増えるのもデュアルファン帯の特徴だ。
価格差が小さい範囲であれば、静音性と温度のバランスを重視してデュアルファンモデルを選ぶ価値は高い。
他GPUとの価格比較
RTX 4060は新品価格で見ると、同クラスのRadeon RX 7600やエントリーRTX 50シリーズと競合する位置付けにある。
一方、中古市場ではRTX 3060 TiやRTX 3070などが近い価格帯に並ぶこともあり、純粋なfpsだけで見れば中古上位GPUの方が有利な場合もある。
ただし中古品は保証期間や使用履歴が不明な点も多く、消費電力や対応機能も含めて総コストで比較する必要がある。
新品の安心感と最新機能を重視するならRTX 4060、中古でも構わないから生のfpsを優先するなら上位世代中古という住み分けになる。
| 新品RTX 4060 | 最新機能・低消費電力・保証あり |
|---|---|
| 中古RTX 3060 Ti | 高いfps・消費電力や経年劣化に注意 |
| 同価格帯AMD GPU | ラスタ性能重視・機能差を要確認 |
RTX 4060の性能を踏まえた賢い選び方
RTX 4060はフルHDゲームに最適化されたGPUであり、RTX 3060世代からは着実な性能向上と大幅な電力効率の改善を実現している。
一方で8GB VRAMと128bitバスという制約があるため、重量級タイトルで画質を最大にしつつ長期的な余裕を求める場合には上位GPUの検討も必要だ。
レイトレーシングとDLSS 3をバランス良く活用し、フルHD〜1440pで妥協点を探るユーザーにとって、RTX 4060は依然として魅力的な選択肢であり続ける。
予算や解像度、遊びたいタイトル、クリエイティブ用途の有無を整理したうえで、自分にとっての最適解がRTX 4060なのかを冷静に見極めてほしい。
